小田急電鉄は11月1日、来年3月中旬に運行開始する新しいダイヤを発表した。
「構想50年、着工30年」という複々線の整備効果を生かし、「白紙状態からつくった」というダイヤ。平日朝の通勤時間帯の上り方向の輸送を改善するなどして、「混む、遅いのイメージを覆す。新しい小田急の誕生」を宣言した。
町田→新宿の所要時間は、12分の短縮(49分→37分)、現在の新百合ヶ丘→新宿の所要時間よりも短く、「通勤40分圏内」に入った。1996年ごろの所要時間59分から20分以上の短縮だ。
他の主な駅から新宿までの所要時間の変化は、新百合ヶ丘=10分(38分→28分)、小田急多摩センター=14分(54分→40分)、海老名=10分(61分→51分)、大和=10分(62分→52分)、それぞれ短縮。昨年4月に発表した見込みよりも短くなった。
新ダイヤでは、「快速急行」をラッシュピーク時に導入。町田発は25本の大増発(3本→28本)になる。町田発のロマンスカーは9時30分までに新宿または大手町方面に到着する列車が3本(6時45分、8時24分、8時33分)増発し、6本になる。
多摩線は、千代田線直通「多摩急行」が廃止されるも、新宿直通の「通勤急行」「急行」を新設。唐木田駅と小田急多摩センター駅は始発本数を大幅に増やし、京王線からのシフトを狙う。同社が再開発を進める海老名駅はロマンスカーの新規停車駅になるほか、始発列車を1本から4本に増やす。
輸送力40%増の列車大増発により、混雑率は最大192%(世田谷代田~下北沢間)から、新聞や雑誌を楽な姿勢で読むことができる150%に軽減。速達性の向上、混雑緩和などにより他社線からの乗り換えシフトを想定すると将来的には160%を下回る程度になるという。
記者会見では、新ダイヤ運行に合わせた運転士・車掌・駅係員の制服の12年ぶりの刷新、新型特急ロマンスカー・70000形の導入(7000形の廃止)なども公表。小田急多摩線の延伸については記者発表会で触れられることはなかった。「複々線完成による新ダイヤに注力した。延伸については沿線自治体との協議を含めて今後の課題」(同社広報担当者)