相模原の銭湯「並木湯」(相模原市中央区並木1、TEL 042-758-5636)が12月9日、約3カ月ぶりに営業を再開した。
並木湯は市内6カ所の最後の銭湯として1980年にオープン。創業者の出口親次さん(84)は17才で石川県から上京。各地の銭湯で三助や番頭として働き、1962(昭和37)年ごろに町田市中町にあった多満川湯の経営を任された。様々な銭湯で働いた後、念願だった自分の銭湯を相模原に開いた。
開業当時、すでに浴室を設ける家が多かったが、遠方からの客、銭湯マニアの客、たまには足を伸ばして入浴したいという近隣客によって支えられ、夫婦ふたりで営業を続けてきた。
ところが9月18日の台風で高さ26メートルの煙突が倒壊。隣接アパートの一部を損傷。「不幸中の幸い」でけが人は出なかったが、「このまま続けるか家族で悩んだ」と息子の範嗣さん。
父や母、輝江さん(75)の「続けたい」という思いを受けて、西門の相模浴場(中央区矢部)などを参考に、高齢でも営業を続けられるよう、約700万円をかけて燃料を薪からガスに変更するなどした。内部は約10年前に浴槽を改修したほかは当時のまま。
「再開後、お客様の喜びの声を聞くと、やってよかったと思う」と輝江さん。「体が続く限り営業を続けたい」と笑顔で話す。
現在、煙突撤去と廃材処分などに掛かる費用の一部に充てるためのクラウドファンディングを実施中。「これからの並木湯を一緒につくりあげていただければ」(範嗣さん)。
営業時間は15時~22時30分。金曜定休。