暮らす・働く

町田の銭湯「梅の湯」が廃業へ-53年の歴史に幕

  • 0

  •  

 町田市内に残る3つの銭湯のうちの一つ「梅の湯」(町田市森野4、TEL 042-722-1305)が7月31日、店主の高齢化や建物・施設の老朽化を理由に廃業する。

昭和の面影を残す番台

[広告]

 都営木曽森野アパートの団地に囲まれた同銭湯は1961(昭和36)年開業。当時、団地の建物は木造長屋造り、各戸に浴室がなかったため、団地住民の生活を支える場所としてにぎわった。「番台から浴場床のタイルが見えなくなるくらい人が入った」と店主の柴田友一さん。

 開業当時から変わっていないという建物は昭和の面影を残す。脱衣所にはトウで作られたかご、温水を使う暖房機、レトロな扇風機やマッサージ器、手打ちパチンコ台、牛乳やビールが入った冷蔵機などが置かれている。「そこら中を子どもが走り回っていた」というベビーブーム期には2人のお手伝いさんがおむつ替えや子守をしていたという育児室、坪庭に面して朱色の木製ベランダを備える。

 「町田市で一番深くて大きい」という浴槽は5×2メートル、深さは1.1メートル。約12メートルの高い天井の下には、富士山を望む西伊豆の風景が描かれている。「日本に2人しかいない絵師に2年に一度描いてもらう。(廃業のため)今年は描き変えなかった」

 開店時間の15時ごろ、入り口に常連客が数人並ぶ。「客はお年寄りがほとんど。一人住まいで風呂を沸かすより、ここに来る。若い人は(スーパー銭湯などの)新しい施設に行ってしまう。ここ数年は赤字続き」

 夫婦2人で銭湯を切り盛りする。「休みが少ない仕事なので子どもは継がない。自分たちの住まいや廃業後の土地利用が決まり、ホッとする部分もあるが、おなじみの人の顔が見られなくなるのは寂しい。本当はもう少し営業したかった」と話す。

 営業時間は15時15分~23時。月曜定休。料金は、12歳以上=450円、6歳以上12歳未満=180円、6歳未満=80円。最終営業日は無料の予定。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース