町田市民文学館ことばらんど(町田市原町田4)で現在、本の装丁をテーマに据えた企画展「本をめぐる美術、美術になった本」が開かれている。
日本の近代装丁史の中で最初の美本とされる「吾輩ハ猫デアル」(1905年)から現代アート作品まで99年間を振り返る企画。
夏目漱石と橋口五葉、谷崎潤一郎と棟方志功のように作家と装丁家(美術家)の組み合わせで本を売り出すことが強く意識されていた時代から、ブックデザイナーの誕生、本の形態と機能に魅せられた現代アートなど、「物としての本」に焦点をあてる。
会場では、作品世界を表現するための様々なアイデアと工夫が凝らされた本、アート作品、装丁美本の復刻本など約200点を展示するほか、作家や装丁家の装丁にまつわるエピソードや言説を紹介する。
「インクの香りやページをめくる時の紙の手触り、私たちの本にまつわる記憶は、内容だけでなく本を体感することによって形作られてきた。作家によって紡がれた「ことば」を伝える本は思いのほか変わってこなかった」と担当学芸員。
「本文を伝える手段がデジタル化されたとき、本は物体としての役目を終えるのか。電子書籍の登場をかたわらに、本が置かれている状況を考えるきっかけにしていただければ」とも。
開催時間は10時~17時。月曜休館。入場無料。3月18日まで。