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町田で芥川賞作家・八木義徳展「世界の果てで生き延びろ」

展示会場に据えられたメッセージ

展示会場に据えられたメッセージ

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 町田市民文学館ことばらんど(町田市原町田4)で現在、「世界の果てで生き延びろ 芥川賞作家・八木義徳展」が開かれている。

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 八木義徳(1911~1999)は現・室蘭市中央町生まれ。短編小説「劉廣福」で1944年、第19回芥川賞を受賞し、出征先で知らせを受ける。父への葛藤を描いた「風祭」で1977年、第28回読売文学賞受賞。作家としての業績が評価され、1988年、第44回芸術院恩賜賞を受賞。1969年から亡くなるまでの30年を町田・山崎団地で過ごした。

 八木は、病院長の父と芸妓をしていた母との婚外子という複雑な生い立ち、学生運動の果ての自殺未遂、出征と妻子の戦災死、スランプなど自身の経験を通して心の底から湧き上がってくる「肉の声」を作品にすることにこだわり、純文学という芸術に人生をかけた。

 同展は、次々と襲いかかる危機を前に悩みながらも目をそらさずに生き抜いた一人の作家の生涯とその「肉の声」を、初公開となる「宿敵」の直筆原稿や当時の日記などで紹介する。

 会場では、直筆原稿、日記、文壇の交遊録、記録映像、愛用品などを展示。関連企画として、展覧会監修者・紅野謙介さん、八木全集を編纂した根本昌夫さん、それぞれの講演会、山下澄人さんと梅澤亜由美さんの対談、中村昇さんによる「劉廣福」朗読会などを予定する。

 「同館での八木義徳展は2回目。今回は迫り来る危機に対して、小説を書くことで、いかにそれを乗り越えるのか、逃げて逃げて、その屈辱を書いて書いて、いかにして生き延びたのかをテーマに据えた。地震などの天災や経済の停滞など、様々な危機が降りかかるも、明確な解決策が見つけられず、社会的な閉塞感が強く感じられる今だからこそ、八木の作品を読む価値があるのでは」と同館学芸員。

 開催時間は10時~17時。月曜・第2木曜休館(2月11日は開館)。観覧無料。3月17日まで。

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