美術館に行かなくても作品鑑賞できる、ヴァーチャルリアリティー技術(VR)を用いた展示が現在、町田市立国際版画美術館で開催中の全国大学版画展で行われている。
今年で45回目の開催となる同展は全国の美術大学や専門学校で版画を学ぶ学生と指導者にとって年に一度の成果を問う「重要で貴重な機会」。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で出品作品を減らし、学生作品の販売コーナーを中止する一方、版画学会の発案でVRによるリモート鑑賞を実現した。
VR展示では、インターネット上で展示室を移動し、学校単位の作品を一覧しながら気になる作品をクリックすると詳細が表示される。プロ作家の作品が抽選で進呈される「観客賞」の投票はできない。
同館広報の藤村拓也さんは「貴重な発表の場なので、コロナ対策をして開くことにしたが、来館できない審査員が優秀作品を選ぶためにVR展示が必要だった。作品を実際に見てもらうのが一番だが、鑑賞に耐えうるレベルになっている。また展示記録として残せるメリットもある」と話す。
「コロナ禍で美術館に来てほしいと言いにくいなか、全国の人がインターネット上で作品を鑑賞できることは意義がある。今後の展示についても、制作予算の問題はあるものの、VR導入検討はしていくべきだと思う」とも。
開催時間は10時~17時(土曜・日曜・祝日は17時30分)。月曜休館。観覧無料。12月20日まで。