フットパス活動を通じて地域活性化を支援する「日本フットパス協会」が来年2月、町田市に設立される。
フットパスは、森林や田園地帯、古い街並みなど、地域に昔からある「ありのままの風景」を楽しみながら歩くことができる道。道の整備や歴史・文化の学習、自然観察、ツアー企画の実施など、フットパスを通じて地域の魅力を再発見し、創造・発信する取り組みが近年、全国の市民団体や自治体で進められている。
町田市はNPO法人「みどりのゆび」と協力して、多摩丘陵に12のコースを設定。地図の作成や案内板の設置を進める。フットパスを、交通インフラや施設整備への負担が少なく、観光施設が少ない地域でも応用可能な「新しい観光の柱」として期待する。
みどりのゆびは1999年、多摩丘陵のウオーキングを開始。2003年より、同会が開拓したフットパスを歩く「フットパスまつり」を開催するとともに、ガイドマップを2巻発行している。
「フットパスはコースを散策するシンプルなものだが、波及効果が大きい」と同会事務局長の神谷さんは話す。「地元のお母さんが作ったみそやごま、野菜が訪れた都市住民の心をつかみ、売れるようになった。お父さんも巻き込まれて、散策路を整備しようと言い出した。地域にお金が落ちることで、地元の人が地域の価値に気付き、誇りを持ち始めた。地元のやる気が高まると、行政やマスコミ、旅行代理店が目を向けるようになり、人も金も情報も集まるようになった。これが活性化なのかと実感した」(神谷さん)。
町田市は、山形県長井市、山梨県甲州市、北海道黒松内町と設立準備会を発足。全国の自治体に同協会への参加を呼びかけ、来年2月7日に設立総会と記念シンポジウムを開く。
来年4月に設立する町田市観光コンベンション協会内に事務局を設置し、案内標識・コース整備仕様の標準化、ツアーパッケージの開発、コース開発・ガイドマップ作成などのノウハウの提供、広報などの事業を行う予定。