マンション販売センターを転用したアート活動拠点「アートラボはしもと」(相模原市緑区大山町)で7月30日、建て替え前の最終企画展「リニューラボ」が始まった。
開設10年間の軌跡とこれからを展望する企画。施設の特異性と美術系大学が集積する立地特性などから生み出された約200の企画展からピックアップした作品のほか、アートラボの今後の取り組みの足がかりとなるような新企画を取り入れた。
展示終了と同時閉館で、引っ越し作業と展示が混在。アーティストの久村卓さんは、使い込まれた施設の備品がホワイトキューブの展示室を貫通するインスタレーションを製作。佐々木耕太さんは過去に展示したモデルルームの平面図をモチーフにしたドローイングを施設全体に拡張、施設利用の多面性を描いた中尾拓哉さんのテキストと併せて展示する。
そのほか、美術の枠に収まらない美大生ユニット「ズンマチャンゴ」のアーカイブ、女子美術大学の学生によるコロナ禍の状況を形にしたインスタレーション、アーティストが持つ相模原の原風景を疑似体験するインスタレーション、感情を旗にして施設内につなげていくワークショップ、子どもが自由に創作できる場をつくる「みんなの図工室」などを展開する。
アートラボは2025年度を目処として、同じ場所に建設する公民連携の複合施設に入る予定。今年度、事業者を募集する。アートラボに関わるアーティストやインターン生は、10年の運営で醸成されたネットワークやコミュニティー、型にはまらない施設運営などを新しい施設でも残してほしいと話す。
最終展示を企画した学芸員の加藤慶さんは「新しい施設の内容は民間提案にも依る。変化を受け入れながら、この施設の運用で培った柔軟性を生かしていければ」と話す。
開館時間は10時~17時(最終日は16時30分)。水曜休館。8月9日まで。新しい施設ができるまでアートラボの事務所は市立青少年学習センター内(中央区矢部)に移転。開設準備やアウトリーチ活動を予定する。