町田在住の映画監督・冨永昌敬さんが手がけた映画「白鍵と黒鍵の間に」が10月6日、全国公開される。
同作品は、昭和末期の銀座、ジャズ・ピアニスト志望の青年が場末のキャバレーで「ゴッドファーザー 愛のテーマ」の演奏を巡る災いに巻き込まれ、あくの強い人たちとの混沌(こんとん)とした世界から自分の歩む道を見いだしていくストーリー。
ジャズピアニストの南博さん原作「白鍵と黒鍵の間に ~ジャズピアニスト・エレジー銀座編~」(小学館、2010年)を冨永監督らがアレンジした。主演は池松壮亮さん、仲里依紗さん、森田剛さん、高橋和也さん、クリスタル・ケイさん、松尾貴史さん、松丸契さんなど。
冨永監督は1975(昭和50)年、愛媛県生まれ。日本大学芸術学部映画学科を卒業。国内外の短編映画祭で受賞し、2006(平成18)年、オダギリジョーさんと香椎由宇さんを主演に迎えた「パビリオン山椒魚(さんしょううお)」で長編商業映画デビュー。ローリング(2015年)、「南瓜(かぼちゃ)とマヨネーズ」(2017年)、「素敵(すてき)なダイナマイトスキャンダル」(2018年)などの映画、菊地成孔さんやSOIL&"PIMP"SESSIONSのミュージックビデオを手がけている。
映画化について、冨永さんは「南さんに映像化の相談を受けてから10年以上、構想を温めてきた。その間に出版された南さんの、現実と虚構が入り交じった感じがする他の著作を踏まえつつ、原作の断片をつなぎ合わせたり、時代や場所の設定を分かりにくくしたりして、SF的な要素を盛り込んだ。時間がかかった分だけ、雑味が入ったと思う。ジャズ映画というより、サスペンス&コメディー映画」と話す。
ロケ地はレトロ感の残る関内や元町が中心ながら、冨永さんが同映画の台本を書いたという町田のジャズ喫茶「ノイズ」(町田市森野1)も登場する。「原作では、こぢんまりした店の印象を受けるが、撮影機材を設置するため大きめの店が必要だと考えたときに、ちょうどここ(ノイズ)がいいと気付いた」と明かす。同店では南さんのライブを度々開いている。
「南さんがバークリー音楽大学へ留学する前、『だれも演奏を聞いていない店での仕事』を書いた作品。自分の若い頃にもあった『師匠や仲間との関係』など、著者のエモい部分に共感できる。ぜひ、原作も読んでもらいたい」
イオンシネマ座間、TOHOシネマズららぽーと横浜、TOHOシネマズ南大沢、テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷などで上映。