横浜線開業100周年記念事業で昨年9月に試験公開された鹿沼公園(相模原市鹿沼台2)のD52形蒸気機関車。相模原市内のボランティア団体「相模原D52保存会」は同機関車の一般公開を夢見て、清掃・レストア作業を続けている。
D52は第二次大戦中の鉄道貨物需要に応えるべく、D51を改良した国鉄のテンダー式蒸気機関車で、日本の蒸気機関車の中では最高の出力を持つ。1943年~1945年に285両が製造された。同団体の杉本昌樹さんによれば、保存機は全国に7台しか残っておらず、希少価値があるという。
10年以上メンテナンスされず、風雪にさらされてひどい状態だった機関車は当初、解体される予定だった。同団体はメンテナンスや一般公開について、公園指定管理者の相模原市都市整備公社と協議を行っている。
現在は指定管理者の了承の下、月に2回程度、将来の定期公開に向けた実証試験という形で試行錯誤を繰り返す。一般市民への事前告知は行っていないが口コミで広がり、多い日で200人が見学に訪れる。「一般公開が予想以上に遅れている。公開を励みに作業を続けているが、正直なところ先が見えずにつらい」とも。
実証試験では、機関車を末永く保存するために躯体を持たせる必要があることから、外観上では目立たない、炭水車内部やボイラー下部の腐食した部分を重点的に補修している。「汽笛も復活させた。本来の蒸気で鳴らす音とは違うが、とても大きくて、乾いた良い音がする。いつか、この公園で汽笛を鳴らしたい」と期待を寄せる。