有機栽培に取り組む日本の農家は0.4%と、ヨーロッパ(40%以上)に較べて圧倒的に少ない。町田市小山町で、遊休農地を活用した無農薬野菜の栽培に取り組む「おおるりファーム」の青木瑠璃さんが、日々の奮闘と収穫の喜びを伝える連載コラム。
前回まで、日本の有機農産物についての現状をお知らせして来ましたが、今回はもっと根本的な農業の経済的な事情についてです。
大規模な農家は別として、中小の農家はなかなか跡継ぎがいないという現実があります。私が就農した、小野路や小山田でも息子は大工さんになったり、植木を切る職人になったりしています。そうして65歳を過ぎた頃から、農地が荒れるのを心配してぼちぼち耕作を始めています。すでに年金がありますので、頑張り過ぎない農業です。
私事ですが、私は農業を始めて4年目になります。今まで失った預金は1400万円です。農業を始めるにはまず設備投資が必要ですし、そもそも基本的な収入がない中で、失敗もあり手探りでここまで来ましたので。はい、私のやり方が悪いだけだというご意見もあるでしょう。現実としてお伝えしておきます。
このまま、どんどん作る人が減っていきますと、国産の野菜を手に入れることさえ困難になってしまいます。笑い事ではありませんよ!そこで、日本国はまずはお金を出せばたくさん就農してくれるかもしれない・・・と思い至りました。それが、青年就農給付金制度です。
青年就農給付金制度とは、就農してから、または2年前の研修段階から5年間、毎年単身で140万円、夫婦で210万円を国から貰える制度です。ただ、資産や財産があると貰えないことと毎年詳細な報告をすることは、生活保護に似ています。
この制度で、新規就農する人は少し増えましたが、この制度が切れた途端にやめる人は7割以上になります。経済がわかる人は、この制度がどれだけ国に損失を与えているかわかると思います。お金を給付されている時は成り立っていましたが、実は補助金がなくてはやっていけないほど貧しかったということです。そもそも、この制度を利用しようと思った人は農業が好きで始めた人がほとんどなので、本当はやめたくはなかったはずです。私はどこか抜けている、間抜けなので、この制度を利用することはありませんでしたが。
今、町田市で新規就農してうまくいっている方々は、定年退職して第2の人生を楽しもうと農業を始めた方々です。町田市には、市が運営する研修農場が小野路にあり、毎週土曜日、2年間の研修を受けますと、農地を取得するための基本的な権利が得られます。残念ながら、今の所町田市の遊休農地は大変人気があるため、ほとんど無くなってしまいましたが、公的な制度ですので他の地でも農地を借りる手助けになります。
定年後、10年は働けます、まずはチャレンジしませんか?
追伸 私のことはご心配なく!!!
前回のコラム→#010 本当は誰でも農薬不使用の野菜を食べたい