江戸時代の絵画史の大きな柱の一つであった吉祥画の展開を総合的に紹介する「縁起もの展」が9月28日より、町田市立国際版画美術館(町田市原町田4、TEL 042-726-2771)で開かれている。
日本では古来より、松竹梅や鶴亀に代表される縁起のよい動植物、福をもたらす七福神、長生きの象徴である仙人、一富士・二鷹・三茄子(さんなすび)などの「吉祥画題(きっしょうがだい)」が好んで描かれてきた。こうした画題は江戸時代に入ると、版本や浮世絵、新年の暦である歳旦摺物(さいたんすりもの)としても制作されるようになった。その背景には、健康、長寿、繁栄、成功を願う人々の、今も昔も変わらないありのままの姿を見ることができる。
同展は、歌川広重らの浮世絵のほか、池大雅や伊藤若冲、円山応挙らの掛け軸やびょうぶなど約200点の作品を紹介。代表的な吉祥図像を描いた作品、人々の願いや長寿への思いが込められた作品を3部構成で展示する。
関連企画として、早稲田大学文学学術院の成澤勝嗣准教授による講演会「なぞなぞ吉祥図像-どこがそんなにめでたいの?-」、スポーツ祭東京2013関連イベント「版画であなたも あ!刷りーと(アスリート)」などを予定する。
「54年ぶりに開催される東京国体の会期に合わせ、スポーツの祭典にふさわしい『祝祭』をテーマとした、見るだけで縁起がよくなる展覧会」と同館学芸員。
開館時間は10時~17時(土曜・日曜・祝日は17時30分まで)。月曜休館(月曜が祝日の場合は開館、翌火曜休館)。観覧料は、一般=800円、高校・大学生・65歳以上=400円、中学生以下無料。会期は前期=10月27日まで、後期=10月29日~11月24日。