特集

トーコーキッチン物語
#019「いいなぁ淵野辺…なんだか恐ろしく魅力的な街に見えてきたよ、淵野辺。」

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文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。

#019「いいなぁ淵野辺…なんだか恐ろしく魅力的な街に見えてきたよ、淵野辺。」

淵野辺で創業43年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。

ある日、こんなつぶやきを見つけました。
心の声が漏れ出てしまっている様子がひしひしと伝わってきます。
彼はいったいどうしたというのでしょうか?

トーコーキッチンは東郊住宅社が淵野辺駅周辺で管理する1,600室の賃貸物件にお住まいのみなさんに、利便性と健康的な食生活を提供するために存在する食堂です。入居者サービスの一環として自社で運営しているため、朝食100円、昼・夕食500円で提供しています。

つまり、東郊住宅社の賃貸管理物件に入居していただくと、トーコーキッチンを自由にご利用いただけるようになります。ちなみに、トーコーキッチンは淵野辺にある1店舗のみ。JR横浜線・淵野辺駅北口から徒歩2分のところにある商店街の一角に位置しています。

そこで、先ほどのつぶやきです。

2017年1月27日。不動産ポータルサイト「SUUMO」でトーコーキッチンの取材記事が掲載されて2日が経過したころのことです。そもそも淵野辺を知っていたのか、それともまったく知らないまちだったのかは不明ですが、心を惹きつけて止まない何かを記事から見出した彼。それによって心の奥の方から湧き出てくる、ため息にも似た言葉に身を委ねてしまいたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。

それを見つけたボクは、すぐさま彼にこう返信しました。

「淵野辺を連呼ありがとうございます。淵野辺でお待ちしてます!」

淵野辺は都市部へのベッドタウンとして発展してきました。淵野辺周辺には大学など学校が多いこともあり、最近は学生の多いまちとしても知られています。スーパーも多く、図書館や大きな公園などもあり、どの世代にとっても生活しやすいまちです。

しかし、住まうまちとして、羨ましがられたり、憧れられたりするかというと……、残念ながらそういう感じではありません。むしろ、学校や職場が近いことを理由に消極的に選ばれる傾向が強いです。

ところが、彼はトーコーキッチンという空間の存在を知ったことにより、淵野辺というまちに魅力を覚え、それがある淵野辺での生活を羨んでくれたのです。

住みたいまちランキングに縁遠い郊外の名もなき小さなまちでも、たった一つの小さな食堂の存在によって、そこでの暮らしを羨んでもらえるようになったのです。

ところで、今さらなのですが、みなさんは淵野辺というまちをご存知だったでしょうか? かつて、みなさんが望む転居先候補に挙がったことがあるまちだったでしょうか?

答えは「ノー」です。

実は、そこにトーコーキッチンが誕生したことによって生まれた大きな変化があるのです。
でも、それはまた別のお話。

【プロフィール】
池田峰(いけだ・みね)
有限会社東郊住宅社の二代目。管理物件1,600室の賃貸住宅入居者に向けた食堂「トーコーキッチン」を企画し、2015年12月より運営。毎日、朝食100円&昼・夕食500円で絶賛提供中。2016年度グッドデザイン・ベスト100およびグッドデザイン特別賞[地域づくり]受賞。幼い頃のぬり絵は間取り図。 東郊住宅社HP
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