文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
淵野辺で創業44年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
トーコーキッチンは、東郊住宅社が淵野辺周辺で管理する1,600室の賃貸物件にお住まいのみなさんに利便性と健康的な食生活を提供すべく誕生した食堂です。
利便性と健康的な食生活の両立が継続して実現しやすい環境づくりを第一に、年末年始の4日間を除き、毎日朝8時から夜8時まで通しで営業しています。また、11時まで提供される朝食は100円、11時以降の提供となる昼・夕食は500円。いずれもワンコインです。
そこで問題となるのがサイドメニューやドリンクの価格設定です。やはりこちらもわかりやすくワンコインが良いだろうと思い、サイドメニューは50円均一、ドリンクは100円均一にしました。とはいうものの、ただそれだけでは、まちの不動産屋である当社が運営する食堂としての意義や面白味がありません。そこで……
当社とご縁のある方が作るおいしい食品をトーコーキッチンで扱わせていただき、より多くの方につながっていただきたい。また、ご縁あって相模原にある当社管理物件にお住まいいただくので、相模原所縁のおいしい地場食品もたくさん知っていただきたい。そう思い、縁や所縁がある食品を一つひとつ探し、直接お願いして卸していただいています。
例えば、お米は相模原産です。神奈川のブランド米で特A評価を得ている「はるみ」を米農家さんに玄米のまま卸していただき、店内で毎日精米し、丁寧に炊き上げています。
日曜日限定の朝ごはんで提供している食パンは「パン・ド・ルナーラ」さん謹製の一品です。長年にわたって有名ホテルで腕をふるっていたオーナーが作るパンは連日売り切れ必至。淵野辺で知らない人はいないほど大人気のパン屋さんです。
クッキーは社会福祉法人さがみ愛育会の運営する生活介護支援事業所「キッチンハウス」に通うみなさんによる手づくりの品。作り手の心が表れた、純朴な味わいが人気です。
サイドメニューのキムチは相模湖近くにある、その名も「キムチハウス」さんに卸していただいています。白菜自体がおいしく、上品な辛さが特徴のキムチは、トーコーキッチン利用者を次々と虜にしています。ちなみに、併設されている「コリアハウス」ではおいしい韓国家庭料理を楽しむこともできます。その味に魅せられたリピーターが足繁く通う名店ですので、みなさんもぜひお試しください。
また、入居者のご実家などが食料品を扱っている場合には、その食料品をトーコーキッチンに卸していただいたりしています。以前は、新潟の漬物を提供させていただいていました。
コーヒーは津久井に本店を構え、橋本と横浜に支店を持つ「ZEBRA Coffee & Croissant」さんに卸していただいています。熱烈なファンが多い人気店ですので、ご存知の方も多いのではないでしょうか? 実はトーコーキッチンでも楽しんでいただけます。お店同様、注文の度に豆を挽き、お一人さま分ずつフレンチプレスで淹れています。
紅茶は遠路はるばる南半球から届く、ニュージーランドのブランド「chanui」の一品です。実は友人が手掛けるブランドで、日本でこの紅茶が飲めるのはトーコーキッチンだけです。
ルイボスティーは南アフリカ産のおいしい茶葉を採用しています。ルイボスティーはカフェインが含まれていないので、摂取を控えている方にもお茶時間を楽しんでいただけます。