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トーコーキッチン物語
#031「ハマ線のっていると若い男が淵野辺いいらしいよ、と……」

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文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。

#031「ハマ線のっていると若い男が淵野辺いいらしいよ、と……」

淵野辺で創業45年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。

ある日、こんなつぶやきを見つけました。

はたと合点がいった様子がひしひしと伝わってきます。

彼女はいったいどうしたというのでしょうか?

まちの小さな不動産屋である当社、東郊住宅社がJR横浜線の淵野辺駅周辺で管理する1,600室の賃貸物件にお住まいのみなさんに、利便性と健康的な食生活を毎日提供すべく誕生した入居者向け食堂トーコーキッチン。朝の定食は100円、昼・夜の定食は500円です。

おかげさまで、無事5周年を迎えたトーコーキッチン。最近は以前にも増して、当社管理物件に決めた理由として「トーコーキッチンの存在」を挙げる方が多くなりました。先日は「部屋を申し込むので、トーコーキッチンで試食してもいいですか?」なんてお問い合わせも。

そこで、先ほどのつぶやきです。

今からちょうど1年前となる2020年2月2日。当コラムの第19話が更新された翌日のことです。JR横浜線で乗り合わせていた若い男性が発した「淵野辺いいらしいよ」という一言と、今まさに自身のスマホで表示されている相模原町田経済新聞からの情報が、突如として結びついたことにふと気が付いた彼女。その発見を伝えたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。

それを見つけたボクは、すぐさま彼女にこう返信しました。

「奇跡をありがとうございます!」

これは、いったいどれだけの偶然が重なった出来事なのでしょう。

もし、横浜線を利用していなかったら……。もし、同じ号車に乗っていなかったら……。もし、男性の話し声が聞こえていなかったら……。もし、淵野辺を知らなかったら……。もし、Twitterを見ていなかったら……。もし、コラム第19話のタイトルが「いいなぁ淵野辺…なんだか恐ろしく魅力的な街に見えてきたよ、淵野辺。」ではなかったら……。

いや、もしかしたらすべては彼女が遭遇した数々の偶然によって生まれたアナザーストーリーなのかもしれません。そもそも、若い男性は「(でいらぼっちの足跡見るなら)淵野辺いいらしいよ」「(宇宙めし食べたいなら)淵野辺いいらしいよ」「(ラーメン食べ歩くなら)淵野辺いいらしいよ」のつもりだったのかもしれないのですから。

彼女のつぶやきを偶然に見つけてから1年。緊急事態宣言再発令から始まった今年は、例年以上に「トーコーキッチン」が求められているように感じます。行動制限がある今、時間や機会を最大限有効活用すべく、絶対的な価値が見出せるサービスを求める傾向が強まっているのかもしれません。今年も「淵野辺いいらしいよ」の奇跡が生まれますように……。

ところで、トーコーキッチンは広告費をかけて宣伝しているのでしょうか?

答えは「ノー」です。

実は、そこにトーコーキッチンが大切にしている企業姿勢があるのです。でも、それはまた別のお話。

【プロフィール】
池田峰(いけだ・みね)
有限会社東郊住宅社の二代目。管理物件1,600室の賃貸住宅入居者に向けた食堂「トーコーキッチン」を企画し、2015年12月より運営。毎日、朝食100円&昼・夕食500円で絶賛提供中。2016年度グッドデザイン・ベスト100およびグッドデザイン特別賞[地域づくり]受賞。幼い頃のぬり絵は間取り図。 東郊住宅社HP
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