特集

トーコーキッチン物語
#032「入居者専用食堂で200円くらいでちゃんとした飯が食える物件が……」

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文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。

#032「入居者専用食堂で200円くらいでちゃんとした飯が食える物件が……」

淵野辺で創業45年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。

ある日、こんなつぶやきを見つけました。

「ちゃんとした飯」以外はおぼろげな様子がひしひしと伝わってきます。

彼女はいったいどうしたというのでしょうか?

トーコーキッチンでは、朝の定食が100円で提供されています。

100円の朝食は赤字価格です。そのため、100円という価格設定の際には社内からも「300円でも十分喜んでもらえる内容だ」「間をとって200円は?」といった意見がありました。しかし、いずれにせよ赤字です。ならば「管理物件入居者のみなさんに利便性と健康的な食生活を提供する」という目的が実現しやすい価格にして、少しでも多くの方に朝食を食べに来ていただいた方が良い。そう考え、トーコーキッチンの朝食は100円に決まりました。

そこで、先ほどのつぶやきです。

2018年5月12日の昼下がりのことです。友人のTwitter上で引越しが話題に上がったのでしょうか? 希望エリアは淵野辺周辺だったのでしょうか? そのつぶやきを見て、どこかで見聞きしたトーコーキッチンの存在をふと思い出した彼女。うろ覚えながらも、そのお得情報を伝えたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。

それを見つけたボクは、すぐさま彼女にこう返信しました。

「100円ですよ!」

トーコーキッチンは広告費をかけて宣伝をしていません。なぜなら、そもそも一般向けに開放している食堂ではないからです。それにその分の費用で、よりおいしい食事を作り、より多くの入居者のみなさんに、より一層喜んでいただくことを追求した方が、結果として、より広くトーコーキッチンを知っていただく機会につながるのでは?と思っているからです。

それゆえ、ぼんやりした情報がぼんやりしたまま伝わってしまうこともままありますが、それはそれ。口コミの醍醐味であり、面白味でもあります。

例えば、先ほどのつぶやきです。

「入居者向け食堂がある物件」と聞くと、1つの物件内に食堂があり、その物件に住んでいる人だけが利用する食堂をついついイメージしがちですが、トーコーキッチンは違います。

トーコーキッチンの場合は、東郊住宅社がJR横浜線の淵野辺駅周辺で管理する約300物件、1,600室の賃貸物件にお住まいの方々が、淵野辺駅北口徒歩2分の商店街の一角にある1つの食堂を利用します。さしずめ、まち全体が1つの「食堂付き物件」という感じです。

ところで、東郊住宅社でお部屋探しをするみなさんは、すでにトーコーキッチンのことをご存知の状態で来られるのでしょうか?

答えは「ノー」です。

実は、そこにトーコーキッチンがもう一つ大切にしている企業姿勢があるのです。でも、それはまた別のお話。

【プロフィール】
池田峰(いけだ・みね)
有限会社東郊住宅社の二代目。管理物件1,600室の賃貸住宅入居者に向けた食堂「トーコーキッチン」を企画し、2015年12月より運営。毎日、朝食100円&昼・夕食500円で絶賛提供中。2016年度グッドデザイン・ベスト100およびグッドデザイン特別賞[地域づくり]受賞。幼い頃のぬり絵は間取り図。 東郊住宅社HP
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