12月になりました。
今年もあと一か月ですね。
毎年9月から11月の間に、私には通常業務と別にこの時期ピークをむかえる恒例のお仕事があります。
「職場体験」
です。
ラジオ局・FMHOT(エフエムさがみ)では、相模原市・町田市を中心に中学2年生の職場体験を毎年約30校受け入れています。職場体験は1年を通してありますが、特に6月、9月、11月が多く、毎日のように3校ほどの学校を受け入れているときもあります。
私が職場体験を担当して5年ほどたちます。
多いときは10名の「生徒」と一緒に3日間過ごすこともあり、もう「先生」みたいです。
青根小学校の全校児童数よりも多いですもんね・・・
ラジオ局の職場体験。
といっても、「いきなり生放送」とか「いきなり編集業務」などはさすがに中学生にはできません。各中学校の職場体験は2日か3日ありますので、初日は「座学」です。
ラジオ放送の仕組みや機材関連をまずは説明します。
放送業界での専門用語(「完パケ番組」とか「ナマ番組」など仕事上での言葉)などを解説します。
これら初日で生徒たちが一番興味を持つのが「アクセント辞典」です。
アナウンサーがニュースを読む際に気を付けることがいくつかありますが、その中に「アクセント」(日本語の場合は高低アクセントなので、「強」「弱」ということはありません。)があります。
例えば、
はし
という文字が並んでいる時に
はし(「は」にアクセント)場合・・・箸
はし(「し」にアクセント)場合・・・橋
はし(アクセントなし)場合・・・端
と、意味が大きく変わります。
それを調べる辞典がありまして、その辞典を見ると日本語の難しさがわかります。
生徒たちにとっては何気なく使っている言葉の仕組みをあらためて知って、興味が湧くようです。
次の日は、時間が合えば生放送に出演して、各自で「番組制作」です。
10分ほどの番組を「中学生向けの番組」をテーマにそれぞれで作ります。
この番組制作が私の職場体験の「メインイベント」です。
実際に私たちが生放送を作るときと同じ流れで作っていきます。
そして、自分が制作した番組を実際にスタジオで「しゃべって」収録をする。
この時もパーソナリテイーのフリートークと同じように、「しゃべる内容を原稿にする」のではなく「しゃべる内容を箇条書きの項目にする」と私たちの仕事にできるだけ近づけるようにします。
まあ、早い話、「座学」「生放送出演」「番組制作」の三つしかやらないんですよね。
職場体験。狭いスタジオでの作業が多いので、外に「取材同行」したり、声を出したりといろいろ気を使いながらやっています。
最終日の最後には「質問コーナー」。
生徒からの質問を受け付けます。
これが意外と難題。日ごろ私たちが気にしていない事、意外な質問してくるんですよ
「あの機材はなぜあそこになるのか?」
「パーソナリティーはトイレに行くときはどうするのか?」
「番組中、あたまが真っ白になった時どうするのか?」
私たちにとっては、日ごろの業務の中のひとつ。
でも、まわりから見ると不思議な事。質問されて「あれ?どうしてるんだろ?」と思う時があります。そこから「あ。よくよく考えれば意味がないな」「あ。よくよく考えれば変えたほうがいいな」。自分の業務をあらためて考えるきっかけになる時があります。
「この仕事をやっていてよかったと思えることは?」
という質問には
「それは今日ここにいるみんなと仕事ができたこと」
と答えます。
だって、そうでしょう。
学校の先生などの教育関連の仕事じゃないと、中学生と丸一日過ごすことはないでしょう。
毎年50人くらいの生徒が職場体験にきます。いろいろな中学生です。同じような中学生はきません。みんな、それぞれの考えと個性をもった中学生です。短い間だけど、彼らと仕事をすると新鮮な驚きもあり、私も勉強になります。
ま、私も中学生のご両親と同じくらいの歳になりましてので、若いテンションについていけない時も多々ありますが。
全員ではないでしょうが、中学生のみんなが楽しんでくれているのが良かったです。
最後には涙の別れなどがあったりします。
職場体験にきた生徒たちで、大人になり放送の世界に携わる子はほとんどいないでしょう。
中学生ですから、これからいろいろな職業と出会い、自分の夢や希望も変わっていくでしょう。
それでいいと思います。
私だって、中学生の時は放送の仕事なんて興味なかったですし。
ただ、寂しいのは「将来はアナウンサーになりたい」という生徒はほぼいないんですよね・・・。
「声優志望」「YOUTUBER志望」が多いのは時代の流れなんですかね・・・。
ただ、生徒たちに伝えていることは
テレビやラジオは表向きは華やかな世界だけど、裏ではさまざまな約束事や努力があること。そして、それはどんな仕事でも同じ。決して楽な仕事はない。
ということです。
そして、それを自分にも言い聞かせています(笑)
今年は60人くらいの生徒と過ごしました。
来年1月から職場体験があります。
今度はどんな出会いがあるのか、楽しみです。