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ここにはたしか!
♯007 OIOI、サガミ劇場、瓔洛 《後編》

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町田在住のライター&編集者の多田洋一さんが、「町田のちょっと懐かしい」を訪れ、今はなき店や出来事に思いをはせる、ゆるノスタルジー系連載。

♯007 OIOI、サガミ劇場、瓔洛 《後編》

こんにちは、多田洋一です。本に関わる仕事をしていて、
町田市在住。ユーミンは荒井由実時代、「ひこうき雲」がリリースされた頃に聞いて〝なんて日本人離れした曲をつくる人だろう!〟とぶったまげ(古っ!!)ました。あっ、でも八王子出身で多摩美大のお姉さん、というのが、町田ゆかりの人間にとっては横浜線つながりで、妙な親近感だったり。

前回に続き、原町田、とくに横浜線と境川に挟まれた一帯についての、半世紀前のあやふやな記憶。小学生の頃に見た「ヌード専門・サガミ劇場」の看板が刺激的だったことは書きました。それで、晴れて成人後、その劇場に悪友と酔った勢いでいったのでした。なんでそうなったのか、その悪友が誰だったのかも、いまは記憶にない...ですが、それが1979年秋~1980年の前半であることは覚えています。というのも、ステージで熱演する踊り子さんのBGMが、当時大ヒットしていたハーブ・アルパートの「Rise」だったから。

ハーブ・アルパートは、ラジオ番組「オールナイトニッポン」のテーマ曲(ビタースウィート・サンバ)で有名。ヒップホップ好きなら「Rise」がノトーリアス・B.I.G.の「Hypnotize」にサンプリングされていることを知ってるかも。その後「ロバートブラウン」というウイスキーのCMの音楽も担当していて、たしか本人も出演してたはず...なんですが、そんなハイセンスで偉大なミュージシャン最大のヒット曲が、個人的記憶ではサガミ劇場のショーと切っても切り離せなくて、ほんとうにすいません(誰に謝ってるんだ!?)。煌めくミラーボール。妖しくライトアップされた廻り舞台。えっ、それって小屋の中だとOKなんですね、という驚愕の演出。そしてファンキーな演奏に乗って鳴り響く、ハーブ・アルパートのトランペット(フリューゲルホルン?)...なんだろう、いまだと、サスペンス劇場の「ジャンジャンジャジャーン♪」って曲がかかると某女優さんのスッピン顔が思い浮かぶ、みたいなものかな。

そして、中華料理店の瓔洛。じつは、読みが「ようらく」だったことはたしかに覚えているんですが、漢字が「瓔洛」で合っているか、確証持てぬまま書いていたりして。OIOIの近くで、いつも混んでいて、餃子がとてもおいしくて、サンマーメンもあった一軒家のお店。いつのまにか移転して、20世紀末くらいまでは、町田壹番街の回転寿司「大黒さん」の斜め向かいにあったはずなんですが...いわゆる町の中華屋さんって、小田急線沿線でもほんとうに少なくなりました。少し前まではどこの駅で降りてもあったのに。いまでは参宮橋の「昇龍」とか下北沢の「珉亭」とか、希少性で人気店になってますね(あっ、シバヒロ近くの「白河手打ち中華そば一番いちばん」が梅ヶ丘駅前の中華屋さんだったこと、覚えています)。

今回、ひさびさに境川沿いを歩いてみました。とんと艶っぽい話とも疎遠でして、取材でもないと、ヨドバシカメラにいくくらいしか出向くこともなく。千寿橋を渡って「カメラに人が写っちゃったらたいへん」と気遣いながら進むと、ボウリングのピンが見えてきて、あっ千寿閣だ! 高層マンションが増えて町並みは変わりましたが、ここはむかしのまんまだな、と感慨深かったです。

【プロフィール】
多田洋一(ただ・よういち)
フリーランスのライター&編集者。雑誌での取材や映画/テレビドラマのノベライズ等。2010年より年1回、個人主宰の文芸創作誌「ウィッチンケア」を発行。
http://witchenkare.blogspot.com/

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