カフェや歯科医院、米店など橋本駅周辺の店舗にアート作品を展示するプロジェクト「25×25 HASHIMOTO ART PROJECT」が4月30日より行われている。主催は相模原近隣の美術大学の学生グループ「sagart(サガット)」。
同グループは「まちをアートで盛り上げよう!」と相模原近隣の美大生が2010年に設立。橋本地区を拠点にワークショップやイベントの企画・運営、地域情報の発信、デザイン協力などをしながら、地域社会で美大生が活躍できる場づくりに取り組んでいる。
商店街の地図デザインを担当したことをきっかけに始まった同プロジェクト。37店舗と40組の学生の協力を得た。「初めての企画だったので、作品を置いていただく店を確保するのが大変だった」とサガット代表の佐塚弾純さん(多摩美術大学情報デザイン学科3年)。
展示の準備では、キュレーション(展覧会設計)を学ぶメンバーが学校での日頃の学びを生かし、参加学生の作品と店舗の風景をリサーチ。打ち合わせを重ねてマッチングした。展示空間のサイズは、無理なく店内に置ける25センチ×25センチ。小さな作品を街の中に点在させることで、「作品を探し出す楽しみ」や「アートを通して街を探る」ことを期待し、展示マップも作成した。
展示空間を提供した「さとう歯科クリニック」の佐藤文彦院長は「いつもの空間に作品が来てから、患者、私、クリニックスタッフの間に作品を通した会話や笑顔が生まれ、それぞれの考えや普段とは違った一面を垣間見ることができた。特に緊張して来院する子どもたちへのリラックス効果があったと思う。参加して良かった」と話す。
「アートを楽しむということの可能性を強く感じた」と同クリニックで作品を展示した多摩美術大学絵画学科3年のそうままゆさん。「地域振興型アートプロジェクトへの参加は初めて。作品を通しての商店街の人との出会いがいい経験になった」とも。
「美大生は普段、美術をやっている人に作品を見られるということを前提としている。店の方々は第一に生活を懸けて働いている。多くの場面で、お互いの常識だと思っていることや、用語が伝わらず、うまくつなげるのに苦労した」と佐塚さん。
今後の展開について、「より多くの場所に作品を置いて、アートから街を探ることができるように発展させたい。アートを中心に人がつながり、橋本がもっと盛り上がれば」と抱負を明かす。