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デザイナーズカフェ「ゼブラ」7周年、相模原で見えてきた可能性とは

ZEB店内、オーナーの嶋田耕介さん

ZEB店内、オーナーの嶋田耕介さん

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 相模原のカフェ「ZEBRA Coffee & Croissant(ゼブラコーヒー&クロワッサン)」(相模原市緑区中野、TEL 042-780-8600)が津久井にオープンして7年が経った。

ZEBRA Coffee & Croissantの外観

 相模原から道志に向かう国道413号沿いの古い工場を改装した同店。トタンの外壁をくり抜いた大きなガラス窓と木製ドア、テラス席が片田舎の町並みで目立つ。携帯電話のデザインプロジェクトに関わっていたデザイナーの嶋田耕介さんが開いた。

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 「iPhone3Gが2008年に日本に登場し、プロダクトデザインの限界を感じた。魅力的なコンテンツを作らなければと考えた答えがカフェだった」と振り返る。「渋谷にいる自分がドライブで向かう場所として、高速道路を使って1時間程度の外環道付近を想定した。そこにどんなコンテンツがあれば行きたいと思えるかを考えた」

 その答えが、良質なコーヒーとクロワッサン、真空管アンプで奏でるアナログレコード、フレンドリーなスタッフなどの要素をすべて揃えること。メルボルンで出会ったサードウェーブにヒントを得たというDIYの精神を受け継ぎ、自分たちで内装を作った。

 店舗面積220平方メートル、天井高5メートルの大空間に、秋田杉の無垢材で組み立てたテーブルとイス、大きな焙煎機やエスプレッソマシーンを設置する。ゆったりとした広さの客席が特徴。「客一人あたりの面積などは考えていない。携帯電話デザインで扱ったようなマーケティングデータは未来をつくるためには必要ない」とし、「空間の広さは重要な要素で、いろんな世代、いろんな趣味の人が店内に混じっても空気が流されない。効率的な運営で儲けることが一義ではない。むしろそうでない方が、お金が回ってくるという感覚を持っている」と説明する。

 相模原という立地は二の次だったという。「(江ノ島や湾岸のような)場所では、評価される理由が『場所の力』なのか、『デザインの力』なのか分からない。この店は、津久井では異質な存在だったと思う」

 「津久井でスタッフが見つかるかが心配だった。出店前は知らなかったが、藤野に住む感度の高い人たちが反応してくれた。想定していたターゲットだけでなく、地元の人もリピーターになってくれた」

 開業1年半で手応えを感じ、2年後に橋本駅から徒歩5分ほどの地下に2号店「ZEB」(緑区橋本3)を出店。津久井店よりも大きな空間にクロワッサンの製造スペースを設ける。コーヒーを含めたドリンクの価格は500円前後、クロワッサンは380円、クロワッサンサンドは700円前後と周辺のカフェと比べると高価格ながら経営は順調だという。

 「言い方は悪いが、都心に通勤するために住む場所として仕方なく相模原を選んでいるような劣等感がある。でも、水質や環境の素晴らしさには軽井沢や蓼科に劣らないポテンシャルがある」

 今後の展開について、「人の生活を変えることは難しいが、価値観を変えることはできると思っている。きちんとジャンプするために、ストーリーを大切にし、コンセプトを磨き上げていかなければいけない」

 営業時間は、津久井店=平日9時~17時(土曜・日曜・祝日18時まで)、橋本店=8時30分~19時。

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