町田市と相模原市は5月28日、小田急多摩線の延伸に関する収支採算性などの課題解決に向けた検討結果を公表した。
延伸区間は、小田急多摩線唐木田駅・JR横浜線相模原駅・JR相模線上溝駅を結ぶ、延長約8.8キロ。2016(平成28)年の交通政策審議会答申で「東京圏の都市鉄道が目指すべき姿を実現する上で意義のあるプロジェクト」のひとつとされる一方、収支採算性などの課題も示された。
国の答申を受け、学識経験者や小田急電鉄、国、関係自治体など関係機関で構成する関係者会議を設置。課題の解決に向けた検討を2016年8月から行ってきた。
関係者会議の報告書によると、開業想定年次を最速2033年に設定。相模総合補給廠一部返還地などの開発による将来人口の増加などを見込み、「収支採算性等向上」「延伸の意義と効果」「今後の取組の方向性」などを検討した。
収支採算性等向上の検討では、全線一括整備に加え、「唐木田~相模原」を先行整備する案など3ケースについて分析。「収支採算性に一定の改善が図られたものの未だに課題が残り、概算建設費の縮減など、さらなる検討が必要」という結果が示された。
延伸の意義と効果の検討では、「首都圏南西部エリアにおける広域交流拠点の形成」「多様なイノベーションの創出促進」が挙げられた。延伸による新宿(都心方面)への所要時間短縮効果は、小山田周辺の新駅=27分、相模原駅(多摩線)=12分、上溝駅(多摩線)=27分。
今後の取組の方向性の検討では、「事業化を見据えた計画案の検討」「沿線のまちづくり」「財源の確保」「関係者の合意形成」の4点を挙げ、「調査研究の段階」から路線計画や運行計画、開業想定年次など、具体的かつ詳細な検討を通じ、関係者が「事業参画を判断するための検討段階」へ移行すべく、各関係者との調整を進めるとしている。