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町田の郊外住宅地で無料送迎サービス 自治会と社会福祉法人が連携

急坂を走る送迎車「くらちゃん号」。地元の絵本作家が「クラカケアザラシ」をモチーフにキャラクターをつくった。

急坂を走る送迎車「くらちゃん号」。地元の絵本作家が「クラカケアザラシ」をモチーフにキャラクターをつくった。

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 買い物や外出が困難な住民のための送迎車の試験運行が鞍掛台自治会(町田市西成瀬)で始まった。

送迎の様子

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 鞍掛台は高台の住宅地で、最寄りバス停まで狭く急な坂道を上り下りしなければならない。高齢化率は31%で市平均よりも高く、移動困難者の救済が地域課題となっている。同自治会は昨年1月、住民350世帯にアンケートを実施。6割以上が送迎バスの利用を希望したことから、取り組みをスタートさせた。

 地域包括支援センターの協力を得て、老人ホームなどを運営する社会福祉法人3団体から空き車両の提供を受ける。ガソリン代や運転手の人件費など運行に必要な経費は、社会福祉法「地域における公益的な取組」規定に基づき、社会福祉法人が負担。運行に必要な手続きや初期費用は、町田市が協力。道路運送法上は、「許可・登録を要しない輸送」に該当し、住民は無料で利用できる。

 送迎車は3月に試験運行をスタート。毎週木曜11時~14時、成瀬コミュニティーセンターと4カ所の乗降場所を結ぶルートを6周する。1カ月の平均利用者は約60人で、累計250人。コミュニティーセンター周辺で買い物をする利用者が多いという。

 「住宅地ができて50年。高台に水道を引くポンプや私道の管理、スポーツ広場の利用などを通じて自治意識が高い。だから、送迎バスの取り組みも自分たちでできたと思う」と同自治会プロジェクトメンバーの海老澤清さん。8月で試験運行を終え、取り組みを検証するという。

 「運行頻度を増やしてほしいという声もある。高齢者だけでなく、小さな子どもがいるお母さんにも利用してもらいたい。費用を負担してもらっている社会福祉法人に対しては、自治会のメンバーが施設のイベントを手伝うなどして、お礼をしている。今後の費用負担は、商店街や商業施設からの協賛を得られないかといったアイデアも出ている。送迎車の需要は増えることが見込まれるので、いい形で続けていきたい」とも。

 公共交通不便地域の対策として、市は事業者と連携してコミュニティーバスを運行しているが、過去に赤字路線を廃止したこともある。人口減少と高齢化が進む郊外住宅地のモビリティー確保の一手段として、ラストワンマイルを補う互助的な取り組みが実現できるか、「地域の力」に懸かっている。

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