明治から昭和初期にかけて相模川の水運で活躍した帆かけ船の実演会が8月4日、相模原市南区磯部で行われた。主催は、相模原市磯部民俗資料保存会(相模原市南区磯部)。
地元の故・野頭謙一氏が発起人となり、地域住民らが協力して発足した同会。帆かけ船は、古き良きものを残そうと、各家庭に眠る生活用品や農機具、古民具などを集めるなかで発見された、「帆」がきっかけとなり、船頭経験者の指導で復元された。
現在の船は2隻目で2013年新造。全長は約8メートルで、長さ約5メートルの帆柱に4枚帆を、当時の滑車や留め具を使って張る。敷地内の納屋を民俗資料館として提供する野頭重一さんによると、当時の船は全長20メートルほど。一枚板を切り出した製材所の制限で、現在のサイズになったという。
実演会は年1回、8月第1日曜に開催され、今年で34回目。見学者は、帆かけ船と併せて新造した伴走船に無料で乗船。水辺の涼しさを感じながら、南風を受けて川をさかのぼる帆かけ舟を間近で楽しんだ。
実演会に参加した本村賢太郎市長は「伝統を残すために取り組みを支援し、市の魅力を発信していく」などと挨拶。保存会会長の吉澤美芳さんは「保存活動を継続するために、いろいろな人の力を借りたい。近隣には勝坂遺跡などもあり、地域の魅力を広く発信していければ」と話す。
実演会後の帆かけ船は資料館に展示する。開館時間は10時~15時。土曜・日曜開館(12月29日~1月7日を除く)。入館料無料。