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相模原産ワイン、20年ぶり復活 250本を初出荷

瓶詰めしたばかりの自社初醸造ワインを持つケントクワイナリー代表の森山錬一さん

瓶詰めしたばかりの自社初醸造ワインを持つケントクワイナリー代表の森山錬一さん

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 相模原のワイナリー「ケントクワイナリー」(相模原市中央区上溝)が4月3日、初の自社醸造ワインを発売した。経営は産業廃棄物の中間処理業を手がける大森産業(中央区高根1)。相模原産ワインの自社醸造と販売は、「ゲイマーワイン」(南区大野台4)以来、約20年ぶり。

相模原のワイン醸造所

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 同社は2014(平成26)年、市内の未耕作地でカベルネ・ソービニオン、メルロー、ピノノワール、マスカットベリーAなどの醸造用ブドウの栽培を開始。栽培したブドウは2020年より、市外の醸造所に委託してワインを生産している。ワインの少量生産ができる特区認定を2021年に相模原市が受けたことで、醸造所の建設にこぎ着けた。

 市内に点在するブドウ畑から離れた相模線・番田駅の徒歩圏にある醸造所の面積は約30坪。建物内に醸造設備を置くスペースやワインセラーなどを備える。

 当初は醸造まで自ら手がける予定がなかったという。「当時の社長(現会長)のワイン好きが高じ、かつて相模原にあった『ゲイマーワイン』のようなワイナリーをつくりたいという思いはあったが、具体的な計画はなかった」とケントクワイナリー代表で取締役の森山錬一さんは振り返る。

 「醸造を委託していた都市型ワイナリーが、よりよいワインを造るために自分たちの畑を持ち始めた。私たちも、手間暇かけて栽培したブドウを生かすために醸造所をつくることにした」と経緯を説明する。

 ワイン醸造には果実酒製造免許が必要で、免許取得には年間6キロリットル以上の製造量を見込んでいる必要がある。「販路を持っていない新規参入者にはハードルが高い」(森山さん)

 「地域の特産品を原料とする」という条件を満たしてワイン特区の認定を受けると基準が年間2キロリットルに引き下げられる。未耕作地の有効活用、都市型農業の活性化、特産品づくりといった事業メリットについて相模原市に理解してもらい、特区申請の協力を得たという。

 初の自社醸造ワインはボトル約250本分。醸造所を建設するための開発許可が遅れ、昨年秋に収穫したブドウをすぐに醸造できなかったことから、大半のブドウはこれまで通り委託醸造で使用。残りを相模原の新しい醸造所で使ったという。

 ブドウの種類はマスカットベリーA。「神奈川県は寒暖差が少なく、ブドウ栽培に適していないといわれる。その分、栽培に手間をかけて、質の向上を図っている。日本固有品種のマスカットベリーAは国際品種と比べて格下に見られることもあるが、自分は好きな品種なので主力商品にしたい」と森山さん。

 「すっきり辛口ドライ。ワインが初めての人にも楽しんでもらえるように、『フレッシュ&フルーティー』を心がけた」とも。参考価格は2,400円(税別)。直販サイトでは売り切れたが、市内4カ所の酒販店で取り扱う。

 今後の取り組みについて、森山さんは「今年収穫したブドウは全て自社醸造する。現在の生産規模は約6000本。ワインのラインアップを増やしつつ、積極的に県外出荷し、他の日本ワインと味で勝負して、根強いファンを増やしていきたい」と話す。

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