小田急相模原の日本酒バー「日本酒ステーション」(相模原市南区松が枝町9)が現在、神奈川県内の造り酒屋を巡り、仕入れた日本酒を提供するイベントを行っている。
神奈川県の自動車販売店が行う企画「かながわ13蔵めぐりスタンプラリー」を目にした店主の小山田慎一さんは、「何か、もう一工夫したい」と、訪れた酒蔵の蔵主に「次に向かう酒蔵」をルーレットで選んでもらうことにした。小山田さんは、脱サラ後の準備期間中に熊澤酒造(茅ヶ崎市)で酒造りを体験。そのときの縁で県内の造り酒屋と交流を重ね、県内で造られたさまざまな日本酒を提供している。
スタンプラリーは当初、1日で終える予定だったが、自ら課したルールで同じ酒蔵の前を3回も通ることになるなどして未完。8月7日を臨時休業し、定休日の翌8日の2日間でゴールを目指す。「神奈川県の日本酒をもっと知ってほしい」と意気込みを見せ、巡った酒蔵の酒を店頭に並べる。
同店は2021年6月21日オープン。直後にコロナ禍による酒類の提供制限で休業を余儀なくされた。「正式なオープン日は自分でも決めきれていない」と明かす。小山田さんは元システムエンジニア。日本酒の味の多様性に魅了され、同店を開いた。「飲み比べが好きで、たくさんの日本酒を持っていたので、生かそうと思った」と話す。
店名は、足しげく通ったという町田の日本酒居酒屋「日本酒ラボ」店主のアドバイスで決めた。出店場所は、小山田さんの地元である小田急相模原の繁華街から少し離れた場所。店舗面積は17坪。元美容室の内装を生かしたという店内は明るく仕上げた。席数は、カウンター7席、テーブル14席の計21席。「コロナ禍でリモートワークが進んだこともあり、広さを優先した。全面窓ガラスの店構えが気に入っている」と小山田さん。
日本酒は常時70種類以上を取りそろえ、今回のスタンプラリーで集めた「神奈川県の酒」に加え、「バランスが良い」「スッキリ系、辛い系」「甘い、濃厚」「新入荷」「常温、燗向け」「熟成酒」などのカテゴリーでそろえる。価格はグラス1杯(約65ミリリットル)420円。
料理は、マグロとタイの刺し身(600円)、江戸風アサリのさんしょう煮(300円)、ナスの揚げひたし(450円)、いぶりがっこクリームチーズ(400円)、自家製の燻製(くんせい)各種(100円~)、土鍋炊きご飯(300円)など。客単価は3,000円。
オープンから3年が過ぎた店の様子について、小山田さんは「この街の昔ながらの飲兵衛の来店は少なくなった。日本酒が好きで、一人で飲みに来る人が多い。酒は、『飲んだことがないもの』を優先的に選んでいて、常連客のリクエストも受けている。コロナ禍が去ったとは言い切れないが、なにか面白いことをやってみたい」と話す。
営業時間は17時30分~23時(日曜は14時~20時)。木曜定休。