町田で日本の風土をデザインした「昭和建築家」展-「エコ」視点で作品紹介

藤井厚二氏設計「聴竹居」

藤井厚二氏設計「聴竹居」

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 町田の古民家ギャラリー「可喜庵」(町田市能が谷町、TEL 042-735-5771)は4月9日より、日本の風土をデザインした昭和建築家の作品展を開催する。

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 作品展は、昭和に活躍した藤井厚二、山越邦彦、蔵田周忠、広瀬鎌二の建築作品を4回シリーズで紹介するもの。

 藤井厚二氏(1888~1938年)は1928年、京都に実験住宅「聴竹居(ちょうちくきょ)」を設計。聴竹居は、日本の気候を科学的に検討し、自然の力をそのまま利用する「パッシブ建築」の記念碑として評価されている。山越邦彦氏(1900~1980年)は、熱・空気環境に関わる数多くの論文を発表。エコロジカルな思考で2軒の実験住宅を設計した。1933年に完成した自邸には通風・換気・防湿防腐への配慮、太陽熱温水器、床暖房を採用。

 「生活をデザインする」ことを目指した蔵田周忠氏(1895~1966年)は「白い箱モダニズム」の住宅を手がけた民家研究者で、家具デザイナー、教育者としても活動。広瀬鎌二氏(1922年~)は、技術や生産の方向から建築をとらえた一連の鉄骨住宅「SHシリーズ」を発表。戦後、住宅の工業化の試みの上で大きな存在となった。

 各シリーズの展示期間中は講演会を開催。文化財保存計画協会社長で、「空間流離」(建知出版)、「甦る古墳文化」(サンポージャーナル)、「歴史のまちのみちづくり」(日本交通計画協会)などの著書を手掛ける矢野和之さんが講演する。

 同ギャラリーの鈴木亨さんは「地球温暖化問題が大きくクローズアップされてから久しい。1997年12月には京都議定書が採択されたが、我々を取り巻く環境は一向に解決を見ない。住宅は大きなエネルギーを消費している。エコロジーが声高に叫ばれる今日、1930年代・1950年代以降に活躍した建築家を今一度、『環境・工業化』などの視点でデザインサーベイする意義があるのではないか」と話す。

 開催期間は、第1回「藤井厚二氏」=4月9日~4月21日(講演会は4月11日、以下カッコ内は講演日)、第2回「山越邦彦氏」=6月11日~6月24日(6月13日)、第3回「蔵田周忠氏」=9月3日~9月15日(9月5日)、第四回「広瀬鎌二氏」=10月22日~11月2日(10月24日)。講演会の開催時間は各16時~18時。参加費は2,000円(懇親会含む、展示初日までに申し込みが必要)。

 展示時間は10時~17時。日曜定休。入場無料。

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