100人を超える美術作家の制作現場「スタジオ」を紹介する企画が10月12日に始まった。主催はアートラボはしもと(相模原市緑区大山町1、TEL 042-703-4654)。
美術大学が点在する相模原市やその周辺では、倉庫や工場を転用した共同スタジオで活動する作家が多く、市内にとどまらず全国の美術館やギャラリーの展覧会で活躍している。「スタジオの数は市内の高校の数よりも多い。自宅兼アトリエや造形教室、クラフトや陶芸の工房も含め、全国で有数の地といえるだろう」と同施設美術専門員の加藤慶さん。
20軒の共同スタジオ・約110人の作家の制作現場を公開する同企画。会期中、アートラボで各スタジオを案内するほか、参加スタジオ作家の千葉正也さん(LUCKY HAPPY STUDIO)による公開制作、井出賢嗣さん(TANA Studio)と山根一晃さん(REV)によるスタジオ訪問記録のインスタレーションを展開。
アートラボと造形教室などが連携したワークショップ、市域で活動するグループによる映像やパフォーマンスの発表など、「さまざまな製作現場がクロスオーバーし、会場全体が共同スタジオの集合体」となることを目指す。
10月20日~11月10日の土曜・日曜は、それぞれのスタジオでワークショップや公開制作、イベントなどを実施。鑑賞者が実際の制作の現場で作家と交流する機会を提供する。「制作のためのアイデアが詰まった創造空間と作家たちの日常空間が入り交じり、混沌(こんとん)を凝縮した世界が広がっている。美術館やギャラリーの展覧会とは異なる『スーパーな現場』を体感していただければ」
「世界で活躍するような作家の制作場所が身近にあることを知ってもらいたい。将来、ここが『アート作品の発祥の地』として評価されることを願っている」と加藤さん。「現実的な問題として、共同スタジオは作家の高齢化や空きスペースの発生で家賃負担が増えるリスクがある。学生には、作家と交流することで卒業後の制作活動の参考にしてもらえれば」とも。
開催時間は10時~18時。オープンのスケジュールは各スタジオによって異なる。水曜休館。観覧無料。11月17日まで。