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町田の版画美術館で「版画×写真 1839-1900」展 表裏一体の関係に迫る

ダゲレオタイプの制作のための機材

ダゲレオタイプの制作のための機材

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 町田市立国際版画美術館(町田市原町田4)で10月8日より、「版画×写真 1839-1900」展が開かれる。

クリシェ=ベール技法の作品

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 写真と版画は、「イメージを写し伝える」という同じ役割を担う。写真の発明で版画は大きな影響を受け、版画家の失業が風刺画で描かれるほど、対立ばかりが語られてきたという。

 初期の写真は、「大量印刷ができない」「撮影に長い時間を要する」など技術的に不十分な点が多く、版画が支える部分もあり、両者は補いあう関係でもあった。やがて写真が技術的にめざましく発展するなかで、写真と版画は競い合ってさまざまな表現を生み出すことになる。

 同展は、世界初の写真技術であるダゲレオタイプ(銀板写真)が公表された1893年から写真の技術が向上し印刷技術として実用化されていく19世紀末までに焦点をあてて、「版画美術館ならではの視点」で写真と版画の表裏一体の関係に迫る。

 展示は「写真の登場と展開」「実用と芸術をめぐる争い」「競い合う写真と版画」の3部構成。展示物はヨーロッパを中心に版画と写真、カメラなどの関連資料180点。写真の発明者ダゲールのリトグラフ、写真の技術を用いた版画、版画の技法を用いた写真など、版画と写真の境界が曖昧だった時代の多彩な作品。タルボット、ル・グレイら黎明期を代表する写真家の名品と併せて、当時のカメラ、薬品、ポージング用の小道具などの立体資料により、写真の成り立ちも解説する。

 担当学芸員の和南城愛理さんは「版画は、絵画を複製して普及する役割を担っていたが、写真の登場により芸術の版画が残った。19世紀は両者が競い合いながら、試行錯誤するおもしろい時代」と話す。

 関連イベントとして、講演会や銅版画家による公開制作「写真から版画へ」、ゆうゆう版画美術館まつりとの連携イベントのワークショップ「だいじな写真をケースに入れよう」、プロムナード・コンサート、担当学芸員によるギャラリートークなどを実施予定。

 開場時間は10時~17時(土曜・日曜・祝日は17時30分まで)。月曜休館(祝日の場合は翌火曜休館)。観覧料は、一般=900円、大学・高校生・65歳以上=450円、中学生以下は無料。展覧会期中の土曜・日曜・祝日・第4水曜のシルバーデーは町田駅と国際版画美術館をつなぐ無料送迎バスを運行する。12月11日まで。

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