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世界初の階段昇降車いすロボット、相模原の市営住宅で実証実験

アクセスエンジニアリングの中村光寿社長(右)と開発スタッフ

アクセスエンジニアリングの中村光寿社長(右)と開発スタッフ

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 技術コンサルティングや受託設計などを手掛けるアクセスエンジニアリング(相模原市中央区田名)が開発した階段昇降車いすロボット「movBot ACE-Stair(以下、ムーボット)」の初めての実証実験が2月29日、相模原市営住宅の東団地(相生2)で行われた。

ムーボット

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 ムーボットは、エレベーターが設置されていない施設などで、介助者なしでの階段昇降を支援するロボット。階段移動が不自由な人や妊婦、重たい荷物を持って移動できない人などの利用を想定する。各階の昇降移動ができる車椅子ロボットは世界初で、国際特許の出願もしている。

 平成30年住宅・土地統計調査によると、全国にはエレベーターが設置されていない4~5階建ての中層住宅は23万7300棟あり、全体の約7割を占めている。高度成長期に建てられた建物が多く、エレベーターの設置には多額の費用がかかるため、ほとんど手つかずのままだという。

 実証実験が行われた東団地は1980年代に建設。階段室型の住棟で、階段3つの踊り場を廊下でつなぎ、エレベーターを1基設置すると約8000万円かかるという。ムーボットの設置費用はエレベーター設置費用の10分の1程度。市営住宅のような階段の幅が狭く、段差が高い急な傾斜でも上り下りできるように設計されている。

 利用者は専用カードでムーボットを呼んで、目的階に移動。目的階で降車すると、ムーボットは基地に自動で戻る。昇降時に座面は水平に保たれる。大きさは幅と長さが約80センチ、最大高さは135センチ。耐荷重は100キロ。移動速度は通常4キロで、人と同じ程度のスピードで移動できるという。

 アクセスエンジニアリングは2000(平成12)年設立。「安く早くものを作る」技術商社機能を生かし、国内外から最適なパーツを集めて、わずか2カ月でムーボットを作り上げた。

 実証実験の見学には、相模原市の職員、公的住宅の供給事業者、同団地の住民らが参加。ムーボットが実際に階段を登っていく様子を実況生配信で見たあとに意見交換した。

 「相模原市の協力で有意義な機会をいただいた」と中村光寿社長。青山学院大学との共同研究も進めて今後、ソフトウエアの改良に注力して、1年以内の販売を目指す。

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