町田在住のライター&編集者の多田洋一さんが、「町田のちょっと懐かしい」を訪れ、今はなき店や出来事に思いをはせる、ゆるノスタルジー系連載。
こんにちは、多田洋一です。本に関わる仕事をしていて、町田市在住。さらに引き続きギタリストのCharについて。ジョニー、ルイス&チャー(後にピンククラウド)はポニーキャニオン~バップ~東芝EMIとレコード会社を渡り歩いた後、1988年にChar自らがインディーズレーベルの「江戸屋レコード」を立ち上げました。設立当初は本人が「まいど、江戸屋でござい!」と電話番もしていた、とか。同レーベルの作品は最初は通販、じょじょにふつうのレコード店にも置かれるようになって、私が初めて江戸屋のCD(Charのソロアルバム「PSYCHE」/1988年)を手にしたのは、山野楽器銀座本店の1階(平積みでした)。当時駆け出しのフリーライターだった私は、Charのこの「オレ1人でなんでもやってやるぜ」精神にいたく感銘を受けましたですよ。自分がのちに「ウィッチンケア」という雑誌を個人主宰することになった一因は、まちがいなく「山野で『PSYCHE』を見かけた」からです。
写真は小田急百貨店町田店の7階、北側エスカレーターのところにある休憩所から屋外を眺めた風景。このくつろぎスペース、いまも3階から7階まで各階にあって、たとえばキッズファンマートのある6階には座高の低いもの、というように椅子やテーブルの種類も微妙に配慮されていたりします。...私が覚えているかぎり、オープンしたころ(1976年)から座席の埋まり率が高い、密かに人気のあるスポットのような。買い物ついでにちょっと休む、というより、日がなボンヤリ過ごす、みたいな正体不明の人がいたりして。私もそのむかし、8階にある久美堂小田急店で買った本を持って空いた席を探し、しばらく読んだりしたものです(デパート側にとっては売り上げに直接つながらない場所かもしれないけれども)。でっ、今回写真を撮るのであらためて景色を確認してみて、眼前にそびえ立つ白いモノリスのような謎の建造物が気になった。私は勝手に「町田を守るヱヴァンゲリヲンのようなものが格納されている」と思ってますけど、ほんとうはなんなんだろう。
小田急線町田駅の北口近辺、こうやって見おろすと道は狭いが駐車場は点々と広大で(それでも需要に追いつかなそう)、モノリスがあるのは小田急百貨店駐車場ですが、ここもむかしは奥のほうに見える「いちのや駐車場」という名称ではなかったかしら。...というのも、以前、三菱UFJ銀行町田支店に用事があって(山崎団地のATMで通帳が飲み込まれちゃって「営業時間内に窓口に来い」と)、提携駐車場の「いちのや」は1時間無料だというのでむかしの個人的な記憶のままここに停めて銀行で駐車券を出したら「うちの提携先ではありません」とキリッと言われて「えっ!?」っとなったことがありまして...まぁ、ちゃんと調べなかった私が悪かったんですが、窓口でもけっこう待たされて駐車場代はすでに600円。これは悔しい、と「お買い上げ金額サービス(2160円で2時間まで無料)」のために、デパート内4階の紳士服売り場なんかもウロウロしたりして。けっきょく欲しいものが見つからなくて地下1階で食材、に落ち着きまして、でもね、紳士服売り場はなかなか感慨深かったんです。McGREGOR(マックレガー)とかVAN JACKET(ヴァンヂャケット)とか、わっ、自分が高校生ぐらいのころに着てたブランドがいまもふつうに並んでいる。私は日頃ブランドが表に目立つ服はほぼ着ないんだけれども、ちょっと、McGREGORのボタンダウンにVANの紺色トレーナーを合わせてみたいと思った(ちょっと、ね)。
8階の久美堂小田急店には寂しい貼り紙がありました。〈閉店のお知らせ/この度、令和3年2月1日をもちまして当店は閉店させて頂く事になりました/昭和51年9月小田急百貨店開店当時から45年間の永きにわたりご愛顧頂きましたことを従業員一同心より御礼申し上げます〉と。そうか~、たしか開店当時はフロアのほとんどが久美堂で、こんな大きな本屋さんは見たことがない、と驚いたものでした。私的な記憶の棲み分けとして、本店はいまの大戸屋のところから入ってすぐの左側にコミックがずらっと並んでいて「黒い秘密兵器」や「ミラクルA」といった「巨人の星」以前の野球漫画を立ち読みさせてもらった(買ったこともあった)ころまで遡れる。小田急店は大学受験の参考書あたりからかな。その後、自分の関わった雑誌や書籍をどかんと展開してくれているのを見るのも嬉しかったです。都心のメガストアに引けをとらない品揃え、って感じで。ほんとうにお世話になりました!