相模原のワイン用ブドウ畑で10月16日、今年最後の収穫が行われた。ブドウは昨年より糖度が上がり、色づきいい健全な状態だという。
ブドウ栽培を手掛けるのは建設廃材処理などを行う大森産業(本社=相模原市中央区高根1)。かつて相模原にワイナリー「ゲイマーワイン」があったことを踏まえ、再びワイナリーをつくろうと、農業法人を立ち上げて異業種参入。未耕作地で2014年に栽培を始め、市内3カ所・計5500平方メートルまで畑を広げた。
栽培品種はカベルネソーヴィニヨン、メルロー、ピノノワール、マスカットベーリーA、ブラッククィーン、シラーなど14品種。ブドウ栽培に向いていないと言われる神奈川で、多雨多湿で寒暖差の少ない場所に適したブドウを模索する。
昨年の初収穫は「満足のいく結果ではなかった」とワイン造りを担当する森山錬一さん。「今年は『天候に負けないブドウ栽培』をテーマに掲げて、摘粒や摘房を施したり除葉を行ったりして、雨や病気に対して負けないように工夫した」と説明する。
今年の収穫量は約2.5トン。市外3カ所のワイナリーで醸造し、来年3月頃に販売する。価格は2,200円前後で約2000本の出荷予定。ウェブサイト「ケントクエステートワイナリー」で直販するほか、近隣市町村の飲食店や酒販店での扱いを働きかけるという。
「毎年改良を重ね、いずれは現在の品種数を見直して、『神奈川ならこの品種が良い』と言われるブドウを見つけたい」と森山さん。「私たちが思い描くワインを作るため、2022年を目標に市内で醸造所を立ち上げる方向で準備を進めている」とも。