昨年12月に帰還した「はやぶさ2」カプセルの公開が3月12日、相模原市立博物館(相模原市中央区)で始まった。
はやぶさの故郷、相模原でのお披露目。新型コロナウイルス緊急事態宣言の再延長で開催が危ぶまれるなか、世界初公開したいという市の熱意で実現した。
公開されたのは、カプセルを構成する前面ヒートシールド、搭載電子機器部、背面ヒートシールド、インスツルメントモジュール、パラシュートの5点のほか、インスツルメントモジュール輸送箱、サンプルコンテナ輸送ボックスなど。大気圏突入時の高温にさらされたヒートシールドは黒く焼け焦げて、表面のテープが剥がれる一方、リュウグウのサンプルを格納していたコンテナや電子機器はきれいな状態が保たれている。
一般公開に先立つ記念式典には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の國中均所長、津田雄一はやぶさ2プロジェクトマネジャー(PM)、本村賢太郎市長らが出席し、はやぶさの聖地での初公開を祝った。
相模原出身の津田PMは「惑星間飛行を成し遂げたのは、はやぶさとはやぶさ2の2機だけ。はやぶさカプセルの帰還は『満身創痍』だったが、今回はすべてがうまくいった『完成』と言える」と誇り、「52億キロの飛行をして帰ってきた現物の迫力を味わってほしい」と呼びかける。
市はカプセル帰還記念の記念マンホールを設置し、宇宙をテーマに据えたスイーツイベントも実施する。地元商店街「にこにこ星ふちのべ商店会」は、はやぶさ2に関わる名所やグルメ、グッズ販売の店を記したマップを配布する。
本村市長は「津田プロマネのように相模原で育った人が宇宙開発に関わってほしい。今後もJAXAと連携し、市をあげて世界最先端の取り組みを応援する。シビックプライドの醸成につなげたい」などと話す。
一般公開は事前申込制で募集は締め切られている。約1万8000人分の申し込みのうち定員枠4800人が当選した。同博物館での公開は16日まで。その後、国立科学博物館で27日~4月11日に公開される。全国各地での公開も検討するという。