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街の小さな水族館 海水魚専門店「日海センター」創業50周年

クマノミのペアとイソギンチャク。色の鮮やかさと仕草が魅力。

クマノミのペアとイソギンチャク。色の鮮やかさと仕草が魅力。

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 町田の海水魚専門店「日海センター」(町田市木曽西4、TEL 042-791-0301)が今年、創業50周年を迎えた。前田史夫社長は「海水魚への情熱が商売になった。魚の色の鮮やかさ、野生由来の仕草が魅力」と話す。

日海センター店内

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 海水魚の定価販売の先駆けで、日本の飼育環境に合わせて開発した水質改善方法や餌などにより、魚の長寿命化や繁殖を実現した同店。山田一夫会長が1972(昭和47)年、釣りの趣味が高じて起業した。

 「当時は空輸した魚の死亡率が高く、9割死んだら売値が10倍というような値付けだった」と前田社長。「当社は生きて届いた分だけ卸会社に支払い、結果をフィードバックした。卸会社は質を向上させて売上を伸ばせる」

 初期の飼育方法は「いけす」状態に近く、魚を元気に長生きさせるノウハウがなかった。「袋で届いた魚を水槽に移した翌日、多くの魚が死んでいたが、開け忘れた袋の魚は生きていた。それで我々の水槽が問題だと気づいた」

 それがきっかけとなり、プラスティック加工の職人を雇って水質を改善するろ過槽の開発に取り組んだ。ドイツ製の水質検査器が登場し、開発環境が整ったという。約20年の取り組みで、ついに魚が産卵。「魚から合格をもらった」と自信を深めた。水換えの量を1割まで減らす「硝酸塩還元システム」は同社の大ヒット商品。直近では、海水魚を飼う人のコミュニティーサイトを構築。ユーザー間の情報共有や交流、ひいては定期メンテナンスの商機につなげる狙いだ。

 店内には300種類以上の魚を展示。長時間滞在する客が多いため、ソファーを置く。見学も歓迎。魚の価格は500円前後が多く、同店人気のクマノミは1,500円。サメも取り揃える。繁殖用のクマノミは約20歳。水槽やろ過装置などの初期費用は約6万円。イヌやネコよりも飼育費用がかからず、静かなことや1週間程度のメンテナンスサイクルが可能といった理由で、飼い始めやすいという。

 通販と実店舗の売上比率は5対5。ネットでの情報発信に力を注いだ結果、コロナ禍でも売り上げは伸び、海外からも注文が入る。特許は取得していないが競合はいないという。来夏、分散していた施設を統合し、駐車場を設置するため市内移転を予定する。「お客さんに喜んでもらうため、まだまだ取り組みたいことがある」(前田社長)

 営業時間は、日曜・祝日=10時~20時、平日=13時~20時。火曜定休(祝日の場合は営業)。

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