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相模原の地下生物「ガロアムシ」絵本に 市立博物館で原画展

原画の拡大複製図

原画の拡大複製図

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 相模原市立博物館で現在、舘野鴻さんの絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」が開かれている。

ガロアムシの標本

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 ガロアムシは1914年、中禅寺湖でフランス人外交官のガロア氏が発見し、その名にちなんで名付けられた。発見者の名に「ムシ」と付けただけの命名。ガレ場や洞窟など、真っ暗な地下の隙間で一生を送るため、研究者や愛好家でも目にすることは少ないという。

 この虫が相模原で発見されたのは2010年。同博物館の元職員が上大島で発見し、舘野さんに伝わって調査がスタート。約10年をかけて、市を象徴する河岸段丘の地下世界に焦点を当て、生き物が無心に懸命に生きる姿と街の変化を描いた絵本が完成した。

 展示物は、原画23点、制作過程の資料35点、標本資料20点など。制作の様子をラフ画や観察用具など豊富な資料から迫る。ガロアムシのほかにも、絵本に登場している土壌動物を写真家の吉田譲さんの生態写真で紹介する。

 4月10日午前に開かれた公開制作は約60人が見学。顕微鏡を使って描く細密画の制作過程を舘野さんに質問しながら見入っていた。

 担当学芸員は「相模原市内で継続、集中して調べることのできる調査地が見つかったことで取材が進み、生態も徐々に明らかになった。ベースとなる知見が少なかったこともあり時間は掛かったが、市内の生息地の発見が起爆剤となって絵本化が具体化した」と説明する。

 舘野さんは1968(昭和43)年、神奈川県横浜市生まれ。絵本「ファーブル昆虫記の虫たち」で知られる熊田千佳慕さんに師事。生物調査に関わり生物画を描き始める。昆虫図鑑に写真が使われるようになり、多くの生物画家が廃業するなか、生態写真家の久保秀一さんの勧めで絵本の世界に入る。37歳から10年かけて全3作品を制作、「つちはんみょう」は第66回小学館児童出版文化賞を受賞した。

 開催時間は9時30分~17時。月曜と5月6日に休館。観覧無料。6月5日まで。

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