相模原市は7月7日、文化施設「アートラボはしもと」の後継施設を整備する予定だった民間事業者との協定を解除したと発表した。
アートラボは2012(平成24)年、民間から寄贈された橋本駅近くのマンションギャラリーを活用し、近隣の美術系大学やアトリエとともに展覧会やワークショップなどを展開。設備老朽化で同地での建て替えのため、2021年8月に閉館した。
建て替えは、財政負担を軽減するため「官民合築方式」を採用。隣接する大山町ゆうひ公園を含めてアートラボと民間施設が併設する複合施設を整備する民間事業者を公募。民間事業者は借地期間、後継施設部分を市が買い取るか賃借するかを選択できるようにした。
公募2者から昨年7月、ファジー・アド・オフィス(東京都新宿区)が優先交渉権者に選定された。同社はアートラボの周囲に住宅展示場を配置する案の実現に向けて取り組んでいたが、協定締結後、目標数のハウスメーカーから賛同を得られずに事業化を断念。優先交渉権を辞退した。
市は現在、同社に代わる次点交渉権者との基本協定の締結に向けて動いている。次点交渉権者は、商業施設とアートラボを複合化するコンセプト。借地料などの提案価格も、ファジー・アド・オフィスが約1億2,000万円に対して、次点交渉権者は約23万円と大きく異なる。選定審査では、提案価格を施設運営にも活用することが期待されていた。
市は昨年末、優先交渉権者の提案に基づいたアートラボ後継施設の内装設計者プロポーザルを実施。応募32者からトミト・ANT・川見設計共同体を最優秀者に選定している。
市の担当者は「2025年3月の開館を目指していたが、工事着手できないまま、既に1年が過ぎている。次点交渉者と協定を締結したとしても、内装設計者との調整もある。オープンは1~2年遅れてしまう」と話す。