相原のとんかつ店が「ほぼそのまま」ギャラリーに-若手作家5人が運営

アートギャラリー「きゃべつ畑」のスタッフ、左2人目から石川正洋さん、吉田諒さん、高倉一樹さん、加藤麻衣子さん。一番左の齋藤洋由起さんは照明機器を提供したIT関連企業の社員。

アートギャラリー「きゃべつ畑」のスタッフ、左2人目から石川正洋さん、吉田諒さん、高倉一樹さん、加藤麻衣子さん。一番左の齋藤洋由起さんは照明機器を提供したIT関連企業の社員。

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 相原の人気とんかつ店「こだわりと野菜のお店 きゃべつ畑」が3月24日、アートギャラリー「きゃべつ畑」(相模原市津久井郡城山町原宿2、TEL 042-782-7612)として再オープンした。

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 展示空間の面積は約5坪。デザイナーが設計したというとんかつ店の内装には手を入れず、照明機器だけを新設した。壁にはソースやしょうゆのシミが残り、飲食店営業許可書が掲示されたままに。外の看板もとんかつ店のまま残す。「ホワイトキューブではなく、自然な感じが地域の人に入ってもらいやすいと思う。シミが付いたエピソードも覚えている」と代表の加藤麻衣子さん。

 加藤さんは同店の元アルバイトだった。働きながら美術館の公募展や銀座のギャラリーなどで作品を発表する。「相原に1年くらい前から住み始めた。右も左も分からないまま仕事を探しつつ、店にフラッと入ったら、とんかつがとてもおいしくて、店の雰囲気がとても気に入った。アルバイト募集はしていなかったが、思い切って働きたいと言ってみたら、店長が引き受けてくれた」(加藤さん)と振り返る。

 「昨年7月の閉店直前、店長から私の絵を飾ってはどうかと持ちかけられた。ただ飾るのではなく、美術系大学が多い立地を生かして、ギャラリーにしたいと申し出た。店長からは、店の良さを少しでも残して欲しいと言われた。よく考えて全部残すことにした」。現在もとんかつ店への問い合わせや遠方から食べに来る人がいるという。「多くの人から愛されていた店。とんかつを提供していないと説明するのは心苦しい」(同)。

 運営スタッフは加藤さんのほか、武蔵野美術大学、東京造形大学、多摩美術大学の学生4人。ギャラリーの開設費用はみんなで持ち寄った。照明機器はIT関連企業が提供。「スタッフは私のアトリエ仲間で、責任感をもって取り組んでくれる。IT関連企業は、アート系ウェブサイトのデザイン協力を行う」(同)。

 ギャラリーのレンタル料は1週間15,000円。「直接経費のみの料金設定。スタッフは無給。一般ギャラリーの展示料金はすごく高い。若い人を支援するから通常料金の半額と言われても、30万円が15万円になったところで手が出せない。スタッフはここで働いてもお金にはならないけど、展示する立場で鑑賞者の反応に触れることで『自分の作品が成長する』はず」(同)。

 オープニング企画展では、吉田諒さん(武蔵野美術大学2年生)の作品を展示。「両親の夜の営みをたまたま目撃してしまったトラウマ。日本の住宅事情を見ると、このトラウマはあなたのものなのかも知れない」(吉田さん)という作品は、「外からギャラリー内部をのぞき込んだ女子高生が逃げ出してしまうほど。近所のおばちゃんたちからは好評で、吉田君は予想外の反応に混乱したみたい(笑)」(加藤さん)。

 「若い人たちの作品を『内輪』ではなく、『地域の中』に提示すること、地域の人たちも好きな作品、嫌いな作品を評価できるような環境を育みたい。当ギャラリーを美術と社会との相互作用の実験の場として提案していく。近所のカフェ『スローボート』(町田市相原町)などと連携もできれば。いつか、とんかつ店として再開する日が来るまで、作家と共に良いギャラリーにして知名度を上げたい」とスタッフは意気込みを見せる。

 営業時間は13時~19時。営業日は、第1・第3週の火曜~翌月曜。

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