メディア事業や広告事業などを手掛けるサイバーエージェント(渋谷区)は10月1日、FC町田ゼルビアの経営権を取得すると発表した。町田市をホームタウンとして、J1早期昇格を目標に天然芝の整備やクラブハウスの建設などに投資する。
出資額は11億4800万円で、全株式の8割を取得する。藤田晋社長は「Jリーグの成長性、将来性のポテンシャルが大きい。インターネットメディアの時代において、チーム経営の価値が非常に大きくなる。(楽天の)三木谷さんが海外のスター選手を日本に呼ぶ流れもある。東京発のビッグクラブができるのではないかと思っている」とJクラブへの経営参画について説明。
東京ヴェルディにもアプローチしたと明かすも、J1昇格に必要なスポンサー企業を探していた町田と理念を共有できたという。「私が東京に最初に出てきた時は相模大野に住んで、遊びに行くのは町田だった。町田は自分的にもホームタウンとしてしっくりくる」と明かす。
ゼルビアについて、「質実剛健なチームに思える。つくり上げてきたサッカーチームとしての文化、優秀な経営陣を尊重して、これから先、より世界的なクラブになるように持っていくところをどう描いていくかを考えている」とコメント。現体制を維持し、ビッククラブへの過程で、必要に応じて人材を派遣するなどの考えを示したほか、同社グループのインターネット放送局AbemaTVでの試合放送にも意欲を見せ、DAZNと交渉する考えを明かす。AbemaTVはペスカドーラ町田の今季リーグ戦の約7割を中継している。
ゼルビアは現在3位。成績ではJ1自動昇格を狙えるポジションだが、集客では1試合あたりの入場者数が4486人でリーグ平均6848人を大きく下回る。ゼルビアの下川浩之会長は「育成からスタートした町田にチームがなかったので、(Jリーグを目指す選手は)ヴェルディなど周辺のチームに入ったという現実がある。そのことを考えると、(サイバーエージェントと)今回一緒にやらせていただくことによって、色々な意味で集客ができると思っている。アクセスについても、地方のクラブと比べて劣ってはいない。(東京という)ヘソの中央にある立地を活用していければと考えている」と説明。
引き続き社長を務める株式会社ゼルビアの大友健寿社長は「私はFC町田出身。町田に残りたくても、施設やライセンスの理由で、泣く泣く去っていく監督、選手がいる中で、本当に頑張っている選手に環境を与えていきたいという思いがあった。任された部分、協力いただく部分を生かしながら結果を出していかなければ」などと意気込みを語った。