豊作と臨時休校で余った町田産ダイコンを埼玉県の有志が引き取った。ダイコンはさまざまな料理になって、子ども食堂などで提供されている。
ダイコンは町田市内の自然農法農園「バンブービレッジファーム」が栽培したもの。朝霞市で子ども食堂「おへそ食堂」を運営する名取直子さんは「学校給食の代わりに子ども食堂で毎日提供している昼食の食材調達について話し合っているとき、町田でダイコンが廃棄されようとしていることを記事で知り、居ても立っても居られなくなった」と話す。
鮮度が少々落ちていることを条件に、農園主の竹村庄平さんの承諾を得た。大人4人と子ども2人で翌日、ダイコン約200本を収穫。「町田がこんなに自然豊かだとは思わなかった。畑の土はふわふわで、花がいっぱい咲いていて、水彩画のようだった。新型コロナウイルスの影響で切迫し、使命感に駆られて来たけれど、環境と人のやさしさに励まされた」(名取さん)
同食堂も参加する、貧困の連鎖解消に取り組むプロジェクトチーム「こども応援ネットワーク埼玉」を運営する埼玉県福祉部の内田貴之さんは「給食食材の余剰がかなり出ているなか、ひとり親世帯や子ども食堂へ食料を提供するためのマッチングに力を入れている。食材を無駄にしないこと、自然農法の町田産ダイコンをどうして食べることになったかなどを子どもに伝えることも大切だと考えている」と説明する。
引き取ったダイコンはカレーやハンバーグ、プリンなどに調理するほか、切り干しダイコン、千枚漬けにして保存するという。「濃厚ならぬ農耕接触で、つながりができた。今回は無償提供いただいたが、これを機会にバンブービレッジファームの野菜を購入したい」とも。