特集

トーコーキッチン物語
#006「トーコーキッチンのクラムチャウダー食べたい~(゚¬゚)」

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文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。


#006「トーコーキッチンのクラムチャウダー食べたい~(゚¬゚)」

淵野辺で創業42年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。

ある日、こんなつぶやきを見つけました。
頭の中がクラムチャウダーでいっぱいな様子がひしひしと伝わってきます。
彼女はいったいどうしたというのでしょうか?

淵野辺という小さなまちにある小さな不動産屋が「ありそうでなかった」と称される入居者向け食堂を運営するにあたり、企画当初から大切にしている思いが2つあります。

1つは、「人」と「場所」が紐づいたらいいな、という思いです。前々回のコラムで記したように、入居者のみなさんにとってのトーコーキッチンが単に「食事」の場としてだけではなく、ほどよいコミュニケーションでゆるやかな繋がりを感じつつ、心地よい距離感で安心して身を置くことができる「自分の居場所」のような空間になるといいな、と思っています。

もう1つは、「食」と「場所」が紐づいたらいいな、という思いです。前回のコラムで記したように、トーコーキッチンの料理のコンセプトは、おいしくて健康的な「お母さんの料理」です。それゆえ、レトルトは使わず、手づくりにこだわっているわけですが、実はさらにもう一歩踏み込んで、おいしい地場食品や近隣商店街で仕入れる食材を無理ない範囲でできるだけ採用するようにしています。それらを提供・紹介することで、淵野辺での暮らしをいっそう楽しいものにしてもらえたらいいな、と思っているからです。

これは、人がどこかの国・地方・場所に思いを馳せたり、もう一度訪れたいと思ったりするきっかけになる重要素は「人」と「食」なのではないかと思うためです。

例えば、食堂の存在によって、いつの日か「淵野辺に住んでよかった」「昔、淵野辺に住んでいたときにこんな食堂があってね。あそこのアレ、おいしかったな~」なんて、愛着を持って淵野辺生活を振り返ってもらえたら不動産屋としてこの上ない幸せだと思っています。

そこで、先ほどのつぶやきです。

2016年1月19日。オープン当初の人気メニューだったトーコーキッチン特製クラムチャウダー。寒い冬で冷えた体を芯からじっくりと温めてくれた、あのクラムチャウダーをもう一度味わいたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。

それを見つけたボクは、すぐさま彼女にこう返信しました。

「熱~いつぶやきをありがとう。次回クラムチャウダーの予定が決まったらお知らせするね! ちなみに、クラムチャウダーの旨味を大幅アップしてくれた新鮮な魚介類は、トーコーキッチン斜向かいの魚屋さんで仕入れたものです。ぜひ魚屋さんにも行ってみてね!」

オープンしたてにも関わらず、さっそくトーコーキッチンのメニューで好物を見つけてくれた彼女。以後、他の食材の仕入れ先も訪ねてくれるなど、「食」をきっかけに淵野辺での生活エリアを広げてくれるようになったのでした。

そこで、今回はトーコーキッチンで使用している食材の一部をチラッとご紹介させていただきます。

■お米
相模原・葉山島産のものを通年提供しています。神奈川のブランド米で特A評価を得ている「はるみ」を米農家さんに玄米のまま卸していただき、店内で毎日精米し、丁寧に炊き上げています。

■キムチ
相模湖にある、その名もキムチハウスさんに白菜キムチを卸していただいています。白菜自体がとてもおいしく、上品な辛さが特徴のキムチは、トーコーキッチン利用者を次々と虜にしています。

■コーヒー
津久井に本店を構えるZEBRA Coffee & Croissantさんにトーコーキッチン用に焙煎した豆を卸していただいています。注文の度に豆を挽き、ZEBRAのお店と同じようにフレンチプレスで淹れています。

■クッキー
社会福祉法人さがみ愛育会の運営する生活介護支援事業所キッチンハウスさんに卸していただいています。作る人の心が表れた、素朴なおいしさが特徴のクッキーはトーコーキッチンの人気商品です。

■入居者の家業の食料品
入居者のご実家など、家業が食料品を扱っている場合には、その食料品をトーコーキッチンに卸していただいたりしています。以前は、新潟の漬物を採用させていただいていました。

■物件オーナーさんが育てた旬の味覚
当社に物件管理をお任せくださっているオーナーさんで畑を持っている方が、ご厚意で旬の味覚を山のように届けてくださることがあります。そんなときはトーコーキッチンで調理し、例えば「○○マンションのオーナーさんの畑で採れたじゃがいものグラタンだよ」と伝えながら、無料サービスの一品として入居者のみなさんとおすそわけしています。

ところで、入居者となってトーコーキッチンを利用するには何か特別な手続きが必要なのでしょうか? 食事料金の事前一括払いや来店予約などが必要なのでしょうか?

答えは「ノー」です。

実は、そこにトーコーキッチンの利便性向上を第一としたわたしたちの思いがあるのです。
でも、それはまた別のお話。

【プロフィール】
池田峰(いけだ・みね)
有限会社東郊住宅社の二代目。管理物件1,600室の賃貸住宅入居者に向けた食堂「トーコーキッチン」を企画し、2015年12月より運営。毎日、朝食100円&昼・夕食500円で絶賛提供中。2016年度グッドデザイン・ベスト100およびグッドデザイン特別賞[地域づくり]受賞。幼い頃のぬり絵は間取り図。 東郊住宅社HP
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