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ここにはたしか!
♯027 宝永堂、noodles、スマートクロージングストア町田店

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町田在住のライター&編集者の多田洋一さんが、「町田のちょっと懐かしい」を訪れ、今はなき店や出来事に思いをはせる、ゆるノスタルジー系連載。

♯027 宝永堂、noodles、スマートクロージングストア町田店

こんにちは、多田洋一です。本に関わる仕事をしていて、町田市在住。前回の前フリからオフコースの話をしていまして、私が高校生のころは「マイナーな存在」だったと書きましたが、でも、7枚目のシングル「眠れぬ夜」(1975年)は、それまでの曲よりはちょっとはヒットしたはず。でっ、びっくりしたのは5年後に西城秀樹が歌ってそれなりの大ヒットになったんですが、なんでヒデキはあれを歌う気になったんだろうか? 曲調がポップだから? まさか、あの歌詞に共感した、とか。とにかく小田和正の書く詞は「これを小田和正が歌うから許されてる」としか言いようのない“専制君主”様系が多いんですが、あらためて聞き直しても、女の人が土下座号泣謝罪したって「フンっ!!」みたいな内容で壮絶です。なんでこんなに機嫌悪いんだ、オダヤン! 女の人がなにか悪いことした、みたいな様子でもないのに(とってつけたような3番の歌詞が、逆に嘘っぽいぞ)。そして、のちに歌謡番組でヒデキがニコニコしながら歌うのを見た記憶はあるけれど、ヘンなの、と思った。

写真は宝永堂ビル裏手の、横浜線に沿った路地。なんか、メインの通りからポコっとコの字型に取り残されているみたいでもあり、でもこういう隙間みたいな場所がないと駅周辺は「どの町も一緒」みたいになっちゃうのでは? という雰囲気も漂わせていて、とても不思議な一画です。なんでこんなかたちで残ったのか、謎。利便性だけで考えれば、丸井~ルミネ~ミーナ~バスターミナルまで全部デッキで繋がっていたほうがよかったはずなんだけれど...まあ、きっと、土地にまつわる複雑な事情が背景にあったりするのでしょうが、深入りしないことにします。

で、この路地には、町田を代表するラーメン屋さんが集まってますよね。私が町田に戻ってくる前(2013年以前)は、実家への行き帰りのついでに通りがかるたび、行列に驚いてました。たぶん、「胡心房」さんの行列。そのお隣も評判の店だというのは、再び町田に住むようになってから知りました。それで、胡心房はなかなかタイミングが合わず(並ぶのが苦手)、まだ一度しか食していないまま休業に。丁寧な作り込みをするお店ならではの理由(人手不足、と聞きました)らしいので、復活を祈ります。そして隣の「noodles」は、なぜかいくとちょうど一席空いてたばかり、みたいなことで、ときどきお邪魔できています。こちらは...なんというか、「美人すぎる店員さん」が微笑んでどんぶりを出してくれまして、これが眩しくて「あー、オレはなんでいまここで1人でラーメン食ってるんだろう」みたいな、こそばゆいというかやるせないというか気恥ずかしいというか、自意識過剰状態に陥ってしまう、という。そして少し離れた場所にある「辛麺 真空」。ここも最近行列ができていて、それでも数度は入れたのですが、なんか、山とか海とか狼煙とか、メニューがむずかしいぞ。いつも気さくな店員さんがアドバイスしてくれるので助かってますが...。すいません、全然味について役立たずなグルメレポートで。

ラーメン屋さん以外にも、かつて第二踏切のところにあった「鬼無里」とか玉川学園に去年まであった「住吉食堂」を彷彿とさせる、「稲穂」という定食屋さんとか、気軽に飲めそうなバーとか居酒屋さんとか、ちょっと探検心をくすぐるお店が並んでいるなぁ。あと、「スマートクロージングストア町田店」のたたずまいは、すごく好きです。下北沢の「バーンズ」とか吉祥寺の「ロル」とか国立の「ミノリティアマス」とかのような路面店。こういう店で買った服を「さすがにもう外には着ていけないだろう」になるまで着倒す(でもさらに部屋着や寝間着にもするんだけど)のが、嫌いじゃないもんで。

...と、ここまで進めてきて、今回は「ここにはたしか、○○があったはず」みたいなものがひとつも登場していない、と書いている本人も気づいています。いや、このあたり、かつてなにがあった場所なのか、全然思い出せないんですよ。この線路沿い...なぜ、なにも覚えていないんだろう。詳しいかたがいらっしゃったら、ぜひお話を伺いたいくらいです! それでも、私の記憶のなかでひとつ思い出せたのは、宝永堂って、ここじゃなかったんじゃないかな、ということ。もうちょっとジョルナの近くだったのでは? ...というのも、高校生のときにメガネつくったことがあって、それは町田でメガネといえば宝永堂、という、数回前に書いた「スポーツはモリマチ」「文具はなかじま」みたいな時代のことだったので。

★私が発行する文芸創作誌「ウィッチンケア」の第10号が、4月1日に発売されました。町田市内でも久美堂、TSUTAYA町田木曽店等がお取り扱いくださっています。町田を舞台とした小説やエッセイも掲載されているので、みなさまぜひ、よろしくお願い致します(下記URLをクリックすると目次etc.を掲載)!
http://witchenkare.blogspot.com/2019/04/10201941.html

【プロフィール】
多田洋一(ただ・よういち)
フリーランスのライター&編集者。雑誌での取材や映画/テレビドラマのノベライズ等。2010年より年1回、個人主宰の文芸創作誌「ウィッチンケア」を発行。第10号は2019年4月1日に発行!
http://witchenkare.blogspot.com/

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