町田の製麺所が「白河中華麺」量産化-手打ちの味と食感を再現

ノスタルジックな店名とデザインは、市松模様をモチーフにした。オークションで仕入れた製麺所の扉と照明が雰囲気を醸し出すが、製麺所は倉庫の中に入れ子のようになっているため、外部からはほとんど見ることができない。

ノスタルジックな店名とデザインは、市松模様をモチーフにした。オークションで仕入れた製麺所の扉と照明が雰囲気を醸し出すが、製麺所は倉庫の中に入れ子のようになっているため、外部からはほとんど見ることができない。

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 イチマツ麺舗(町田市山崎町、TEL 042-738-4165)はこのほど、手打ち麺が故に不可能と言われてきた「白河中華麺の量産化」を実現した。

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 白河中華麺は、福島県白河市のご当地ラーメン「白河ラーメン」に使用される麺。とら食堂など有名店・人気店のほとんどが店で手打ちする。手打ち麺は、機械製麺では味わえない手打ち特有の強いこしとモチモチした食感が特徴。すべて手作業のため1日に提供できる量に限りがある。

 「麺生地は硬い。初めて手打ちに取り組んだ時はあまりにつらくて、気持ち悪くなってしまった(笑)」と同社社長の松藤智昭さんは振り返る。松藤さんは白河出身。会社員時代に通っていたラーメン店「白河中華そば」(横浜市)から「同郷のよしみもあり、店主にちょっと手伝ってと頼まれた」(松藤さん)ことがきっかけで現在に至る。

 「6時間かけて150食作るのが精一杯。そのうえ、人を雇うほどコストがかけられない。店主は50歳を過ぎていたので、店を続けていけるのか心配になった。3日くらい手伝ってお茶を濁そうと考えていたが、やめられなくなった。無給だけど(笑)」。会社員を続けながら1年間、同店で手打ちに取り組んだ。「だんだん上達して楽しくなり、麺打ちにはまった」(同)。

 製麺所を立ち上げた理由について、松藤さんは「麺を売ってほしいと言われることがあったが、限られた量しか作れないので卸せない。そもそも店主が体調を崩したら、手打ちができない。それが長く続けば店がつぶれてしまう。手打ちに近い麺が量産化できればニーズがあると考えた」と説明する。

 「製麺機メーカーで麺の試作を繰り返すうちに、作業工程ごとに最適な機械の組み合わせが分かってきた。一般的なロール式製麺機は使わない。手打ち麺特有の食感を生み出すグルテンの多重網目構造を形成するため、普通は使わない製麺機械を導入し、青竹打ちや包丁切り出しなどの手作業を工程に加えた」(同)。昨年12月に操業を開始し、現在の最大生産量は2,000玉/日。

 完成した麺は、「一番いちばん」(中町1)や「白河中華そば」でチェックしてもらうという。「両店とも、とら食堂の流れをくむラーメン店。たまに仕事を手伝う仲」(同)。

 材料は、小麦粉・水・かん水・塩・清酒のみ。グルテン粉やタピオカ粉などの添加物は使用しない。1日熟成させてから出荷する。「3~4日熟成がおすすめ。プリプリして一番おいしい」(同)。麺は太麺と中太麺の2種類。価格は1玉65円程度で、販売数によって価格が異なる。50玉以上から注文を受ける。

 「新しいラーメン店は、修行した店が取り引きしている製麺所を使う。製麺所は昔から経営しているところが多く、新規参入は少ないようだ。そうした意味では、顧客開拓が大きな課題。『白河ラーメン=しょうゆ』というイメージがあるが、当社の麺を使って、塩やみそなどいろいろなスープも試してもらいたい。声をかけていただければ、サンプルを持ってうかがいます」と話す。

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