特集

ここにはたしか!
♯035 河原商店、ホテルスカイプラザ、ぎょうてん屋

  • 73

  •  

町田在住のライター&編集者の多田洋一さんが、「町田のちょっと懐かしい」を訪れ、今はなき店や出来事に思いをはせる、ゆるノスタルジー系連載。

♯035 河原商店、ホテルスカイプラザ、ぎょうてん屋

こんにちは、多田洋一です。本に関わる仕事をしていて、町田市在住。さて、1983年の春に「君に、胸キュン。」のヒットでお茶の間を賑わしたY.M.O.は、その年のうちに解散ならぬ〝散会〟を発表。その後は三者三様の活動になっていったのですが、メンバーのなかで一番の洒落者だった高橋幸宏は自身のファッションブランドを持っていて、私の記憶では渋谷の旧パルコ、たぶん、Part2の地下1階にBricksという小さなお店があったはず。1足1800円くらいのカッコいい靴下を買ったなぁ。あと、いまではオシャレな白髪と眼鏡の坂本教授ですが、Y.M.O.以前はファッションに無頓着で、ボサボサ頭にビーチサンダルでスタジオに出入りしていたとか。...そんなY.M.O.は1993年に再生して「テクノドン」を発表し、また活動中止して、その後もいろいろありつつ四半世紀が経ちました。今年はテレビ番組で彼らをリスペクトしている星野源と共演したり。若い世代のミュージシャンにDNAが受け継がれている感じ、同時代体験したものにとっても、なんか、嬉しいんですよね~。

前回はぽっぽ町田の裏手をうろうろ。でもメインストリートである原町田中央通り(絹の道)についても、まだ語りたいことがありまして。このへん、店の変化が激しくて、あれっ、ティップス町田ビルができたときにオープンしたオッシュマンズがなくなって、もう5年近く経つのか、とか(日曜日のバラエティの「やって! TRY」のロケ地には、いつごろからなったんだろう?)。クジラの看板の河原商店は、私は今年も正月用の数の子とスルメを買いましたが、そのさい、向かい側に露店のワゴンが出ていて、そうだよ、そんなむかしじゃないけれど、このへんにお米と豆を路面で売る店があったはず、との記憶が甦ってきて黒豆を買ったついでに訊ねたら、いまはジュエリーのケイウノがあるビルの3階に移って営業している、かとう(加藤米穀店)さんでありました。

商店会の区分だと、河原さんとかとうさんは幸町商店会で、セピアカフェとラーメン屋さん(ここには靴屋さんがあったはず)の路地のところで原町田四丁目商店会に切り替わり、その四丁目商店会に入ると富澤商店本店とか和菓子の中野屋とか、いまや町田を代表するようなお店が並んでいますが、そのあいだにあるビルは、短くもなくシャッターが降りたまま...私の記憶だと、ここにはホテルがあったはず。ググってみると、やはりホテルスカイプラザが2004年までは営業していたようで、現在は改装されて三経35ビルという名称(1979年竣工とのこと)。私、このホテルができたばかりのころ、一度上階にあった飲食店に連れていってもらったことがありますよ。誰と一緒だったかもう忘れちゃいましたが(そこそこ年配の人だったと思う)、たしかに「スカイプラザ」という名前のごとく、町田の夜景が見渡せる感じで、くっきりと覚えているのは、妖艶なドレスの御姉様が笑顔でひざまずいて二十歳そこそこの私に水割りをつくってくれたこと。なるほど、これが大人の夜の社交場なのか~、と。でっ、さらにググってみたらビルの名称にある「三経(株式会社三経本社)」は〝かつてはキャバレー『ロンドン』を日本全国に展開していた三経ロンドングループとして知られていた〟と(ウィキペディア)。ああ、昭和の深夜帯、テレビで「ロンドン、ロンドン♪ 楽しいロンドン愉快なロンドン」ってCMが流れてて、みんなおもしろがって歌ってたなぁ、と妙に合点がいきました。あの飲食店はキャバレーではなかったはずだが、たぶん「昭和のキャバレー的なサービス」を取り入れた接客をしていたんだろうな、と。

さて、そのシャッタービルの向かい側。年に何度か、無性にぎょうてん屋のラーメンが食べたくなります。注文するのは「ぎ郎(小) 」一択。以前住んでいたところから歩ける距離にラーメン二郎(新代田店)がありまして、なんか、もう胃袋的に無理だと思いつつも、ついつい...。それで、(小)でもかなりのボリュームだと思いつつ、食べながらかねがね疑問なのは...1、店名の「ぎょうてん」と映画「まほろ駅前多田便利軒」の主人公・行天春彦とはなにか関係があるのか? 2、「ぎ郎」の「ぎ」は偽...つまり「二郎」のイミテーションというネーミングなのか? という些末なふたつのこと。でも忙しそうな店員さんに聞く機会もなく、ふたつとも正解だったらなんか楽しいな、と思いつつ、今日も食った、という達成感とともに店をあとにしています。

【プロフィール】
多田洋一(ただ・よういち)
フリーランスのライター&編集者。雑誌での取材や映画/テレビドラマのノベライズ等。2010年より年1回、個人主宰の文芸創作誌「ウィッチンケア」を発行。第10号は2019年4月1日に発行!
http://witchenkare.blogspot.com/

 

  • はてなブックマークに追加
エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース