光学ガラスメーカーのオハラ(相模原市中央区小山1)が9月30日、同社が製造する光学ガラスがNASA(米航空宇宙局)の次世代宇宙望遠鏡「ナンシー・グレイス・ローマン宇宙望遠鏡」の観測装置2種に採用されたと発表した。
同望遠鏡は、ハッブル宇宙望遠鏡と同じ主鏡口径2.4メートルを持ちながら、ハッブルの近赤外線カメラの約200倍の視野を備える。ダークエネルギーやダークマターの解明、太陽系外惑星の探索を主な目的に、数億個の銀河と数千個の超新星の観測を計画している。8月30日に打ち上げられ、約3カ月かけて地球から約150万キロ離れた宇宙空間へ向かう。
採用されたのは、「コロナグラフ装置(CGI)」の光学系と「広視野観測装置(WFI)」のプリズム。CGIは恒星の強い光を遮り、暗い天体の光を分離して太陽系外惑星などを直接観測する装置で、従来のコロナグラフシステムと比べ100倍以上の性能が期待されている。放射線にさらされても透過率がほとんど変わらない耐放射線光学ガラスが使われた。WFIは3億画素の赤外線カメラと分光システムで構成され、オハラのガラスは天体からの光を波長ごとに分けるプリズムに用いられている。
1935(昭和10)年創業の日本初の光学ガラス専業メーカーである同社のガラスは宇宙・天文分野での実績が長い。1969(昭和44)年のアポロ11号への搭載を皮切りに、1999(平成11)年にはすばる望遠鏡の主焦点カメラのレンズ、2012(平成24)年には同望遠鏡の超高視野主焦点カメラに採用。2021年には火星探査車「パーシビアランス」のカメラ、2023年には小型月着陸実証機「SLIM」の航法カメラなどにも搭載された。