相模原市の新田稲荷神社(相模原市中央区共和1)で9月22日、世界初の火星圏サンプルリターンを目指すMMXミッション成功祈願祭が開かれた。主催は、有志団体「JAXA宇宙科学研究所と夢を創る会(以下、創る会)」。
同神社の境内には周辺が平地の原野だった時代、行方不明者を探すために作った「呼ばわり山」があり、山頂の今熊神社に参拝すると、迷子や捜し物が戻ってくるとの言い伝えがある。
そのご利益を求め、初代「はやぶさ」が宇宙空間で消息をたった際、当時のプロジェクトマネジャー川口淳一郎さんは「発見祈願」に毎晩訪れたという。はやぶさ2のプロジェクトチームも参拝し、小惑星リュウグウへのタッチダウンを成功させている。
同神社での成功祈願祭は、「はやぶさ2」に続いて2回目。同神社総代会会長、地元商店会や自治会の代表者、創る会のメンバー、JAXA宇宙科学研究所の藤本正樹所長、津田雄一副所長、沢井秀次郎副所長、神奈川県副知事、相模原副市長らが参加。社殿で願祈祷をした後、今熊神社を参拝した。
当時はやぶさ2プロジェクトマネジャーだった津田副所長は「技術はどんなに頑張っても100パーセントはない。99.何パーセントとか良いところまでいっても、必ず確率の世界がある。最後は人事を尽くした上で、あとは何でも頼れるものは頼ろうという思い」と、10年以上の準備期間を経て迎える打ち上げについて思いを馳せる。
藤本所長が「神頼みという言葉があるが、神様は努力している人のことしか見てくれないと思っている。我々の仕事の場合、事前にどれだけいろんなことを考えているかが努力。こういったところで普段とは違うものの見方でちょっと引いて考えたりすると、いろんな気づきがあって、実はそれがいわゆる運を引き寄せているかもしれない」と明かす。
MMXは、JAXAを中心にNASAなどが参加する国際的プロジェクト。約5年をかけて火星圏を往還し、衛星フォボスから10グラム以上のサンプルを採取し地球へ持ち帰る、世界初の火星圏からのサンプルリターンミッション。
「サンプルを持ち帰ることで、地球がどうして生命惑星になったかということが分かる。宇宙研は世界の中では規模が小さいが、MMXでは、『日本って面白いことやっているよね』と世界から注目されている。はやぶさ2もそうだったが、それをさらに力強い形でやることになる」(藤本所長)
H3ロケット10号機による火星衛星探査機(MMX)の打ち上げは10月20日早朝。市内各所で打ち上げパブリックビューイングなどのイベントを予定する。