町田と相模原のおいしいものを紹介したい！農家応援団を自任する増田久美子さんが農家を訪ね、今、畑にあるものを料理する。

#1 竹村庄平さんの唐辛子

先祖代々畑を守り、親から子へと受け継ぐ職業、というイメージが強い農業ですが、全国的に後継者不足に悩む一方で、畑違いの仕事から農業を志す人もいます。そのうちの一人が「たけちゃん」こと竹村庄平さん。畑を見せて下さい、とお願いしたら、軽トラックをぶんぶん飛ばし、小山田地区の方々に離れた畑を全部案内してくれました。

「小山田桜台の団地出身、サラリーマンの家庭で育ち、今36歳です。大学卒業後サラリーマンをやっていたんですけど、アトピーや病気を経験して、食べるものが大事だと思い、有機栽培で農業をやろうと決めました。長野県・高知県で研修後、地元町田に戻り新規就農して５年経ちました。借りられる畑はどんどん借り、耕作面積を増やしています。一年中休みなく、日が暮れるまで畑にいて、夜は配達。家に帰るのは日付が変わるころですね。農薬や化学肥料はもちろん、動物性の肥料も一切使いませんし、草刈りはしますが、マルチや防草シートは使いません。だから、手が回らなくて作物が草に埋もれることもあります」

--------たしかに、どれが作物でどれが雑草か、一見しただけではわからないですね・・。

「草や虫に負けるやつもいるけど、強いやつだけ残ればいい。その分たくさん作っているんです。野菜は基本的に収穫したらそのまま新聞紙に包んで段ボールに入れて配達。届けるのが夜中になっちゃうこともあります。お客さんはそれでもいいよって人ばかり。ピンポンもせず玄関前に置いて終わり。朝ドアを開けたら置いてある感じですね」

--------それにしても、これだけの畑を一人で？

「いつも一人ってわけじゃなくて、友達が手伝いに来てくれます。畑に大勢の人が来て、土に触れて野菜の世話をして、育てた野菜を買ってくれたら。別に作業をしなくても構わないです。来て、楽しんで、最後に野菜を買ってくれたら（笑）僕の畑がみんなのハブになったらいいな、と思っているんですよ。畑を通してみんながつながって、あたらしいことが生まれたら、最高じゃないですか。最近は畑でコンサートをやったり、定期的にイベントを計画しています。仲間はどんどん増えていっていますよ」

写真を撮るなら、と、急遽そこだけ草を除き、唐辛子を起こして支柱を立てました。写真右奥のほうは元のまま草に埋もれて。

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竹村さんの畑で採れた唐辛子を使って、柚子胡椒を作ってみました。

柚子胡椒の「胡椒」とは、唐辛子のこと。唐辛子と柚子の皮、塩だけで作る、九州発祥の調味料です。柚子のさわやかな香りに唐辛子の辛味が加わり、料理に少し加えると味が締まります。汁物に溶き入れて、刺身に添えて、ドレッシングの隠し味など、幅広く使えます。一度にまとめてたくさん作るレシピが多いのですが、今回は少量の作り方を。必ずゴム手袋をしましょう。唐辛子を触った手でそのまま目や肌を触るとヒリヒリしますので気を付けて。

用意するもの　唐辛子25g、柚子青～黄色中玉１個、塩5g、おろし金、すり鉢、すりこぎ、保存容器（ファスナーつきビニール袋でも可）

① 柚子の皮をおろし金でおろす。白い部分は苦みが強いので、色のついた部分がなくなるまで、表面のみを削るように。中身は半分に切り、種を除いて1/2個分の果汁を絞っておく。

② 唐辛子はへたを落とし、開いて種と種の周りの白い部分を取り除き、細かくみじんに切る。

③ すり鉢に柚子の皮のすりおろしと唐辛子のみじん切り、塩、絞った柚子の果汁を半分くらい加え、すりこぎで擦る。水気が少なく擦りにくいときは、柚子の果汁を少しずつ追加する。水分は、多くても味噌くらいの固さまでに。全体がだいたい滑らかになったら、保存容器に入れて冷蔵庫で1週間以上寝かせて完成。